20日目 ページ20
さっきまで輝いていた太陽を覆い隠し、まるで空が泣き出したかのように雨が降り出した。
『雨…』
ぽた、ぽた、とどこかに落ちる雨音が聞こえてくる。
次第に強まっていく雨音。
そんな雨音を聞きながら、特に何を考えるでもなく、ぼーっと窓の外を眺める。
しばらくそうしていたが、目の端に映っていた布団がゴソゴソと何かを探すように動いているのに気がついた。
『…?』
「A…」
どうやら悟が起きたようで、俺を探しているみたいだった。
まだ焦点の合わない目で、俺を一生懸命探している悟に声をかけながらまだ小さな身体を抱き寄せる。
『悟、俺はここにいるよ。』
「うん…」
弱々しく抱き締め返してくる。
いつもは寝起きでもこんな姿見せないのに、それだけ追い込まれているってことなのだろうか…。
『ね、悟』
『なにがあったのか俺に話せる?それとも、俺には言えないこと?』
「言えなくはない…けど」
『…言いたくない?』
ーーーーー
悟side
言えない訳でも、言いたくない訳でもなかった。
Aがいるから許嫁なんていらない。
Aさえ居ればそれでいいって…そんなことを言ってしまったら、重いって思われて、愛想を尽かされそうで怖かった。
ただの友達に、こんな感情を抱くのが間違ってる。
そんなこと分かってた。
それでも、大好きなんだから仕方がない。
大好きだこそ、嫌われたくないし、離れていかないで欲しい。
ただ、それだけなんだ。
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作者名:楓さん x他1人 | 作成日時:2021年3月2日 16時