五十三輪目 ページ11
敦side
近くに明かりは無く、月も雲に隠れていてAちゃんが立っていることしか分からない
「敦くんと私が会った日のこと覚えてるかな?」
「綺麗な秋晴れの日で私が空を眺めてたら、敦くんが声をかけてくれて」
「今思えば私、敦くんに一目惚れしてた」
え?そうだったの?と聞こうと思ったが、間髪入れずにAちゃんが続ける
「あと、一緒にデパートに行ってお揃いのキーホルダーを買ったりしたね」
「最後には告白もしてもらって……本当に嬉しかった」
少し咳き込んでも、Aちゃんは話をやめない
「病院で犯人さんに捕まった時、申し訳ないけど心配してくれて少し嬉しかった」
「うずまきでの会話も凄く楽しかったなぁ」
「普段の何気ないこととか話したり、太宰さんがお仕事をしないとかね」
「いつも、敦くんがお仕事が終わって来るのを楽しみに待ってた」
「今まで本当に楽しい思い出しかなかった」
だんだんとAちゃんが激しく咳き込んでいく
「私、敦くんと会えて……恋人になれて本当によかった」
何で『嬉しかった』とか『楽しかった』とか全部過去形なの?
「敦くんは私なんかには勿体ない人だった」
やめて……もう、何も言わないで
手を伸ばそうとするも、ただ涙が零れ落ちるだけで言うことをきかない
「こんな私を幸せにしてくれて本当にありがとう」
酷く咳き込みながらも何とか言い終わると、Aちゃんはやっと僕の方に振り向いた
12人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かなう(プロフ) - コメントありがとうございます。完結させてから随分経っているのにも関わらずにこうして味わって読んでくださってとても嬉しいかぎりです。これからも砂漠のうさぎさんのように思ってもらえるような作品を書くために精進したいと思います。 (2019年12月12日 22時) (レス) id: ecc405bdc3 (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - また、読み進めるごとに作者さまの表現力も上がっていて、より世界観に浸ることができました。素敵な作品をありがとうございました。長文、乱文失礼しました。 (2019年12月8日 22時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
砂漠のうさぎ(プロフ) - 完結からかなり経った作品のようでしたが読ませて頂きました。花言葉をモチーフにしたお話はベタではありますが、聞き慣れないダイヤモンドリリーという花を選んだ着眼点が好きです。お話の雰囲気も切なすぎず甘すぎずで、丁度良い温度で進む物語だなと感じました (2019年12月8日 22時) (レス) id: ad3e66ea3f (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - かなうさん» そうですね(*´ー`*)調べてみたいと思います笑 (2018年9月23日 23時) (レス) id: 3a874cc5aa (このIDを非表示/違反報告)
かなう(プロフ) - 紅茶さん» それと、紅茶さんや紅茶さんの大切な人の誕生日花を調べてみたりとか、花言葉と触れ合ってみるのも新しい魅力を感じられるのではないでしょうか。 (2018年9月23日 22時) (レス) id: ecc405bdc3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かなう | 作成日時:2018年2月9日 21時