ダイヤモンドリリーの咲く頃に [文豪ストレイドッグス] [中島敦]

三十一輪目 ページ33

Aside
「という訳で教えてくれたまえ！」


「ごめんなさい、何を教えたらいいんですか」


えぇ〜っ？と少し拗ねながらコーヒーをすする太宰さん


たまに、本当に成人してるのかが分からなくなる時があるんですよね


「聞かせてほしいのが、昨日敦くんとデートしてでしょ？」


コトッとコーヒーを机に置く


「えっ、あれって『デート』だったんですか」


「逆に知らなかったのかい？」


驚いたという様子でこちらを見る。


あぁ、だから誘ってくれた時にすごく慌ててたのか。 なんか敦くんごめんね


「ところで、何の話してましたっけ」 「あぁ、すっかり話が逸れてしまったね」


「具体的に昨日二人で何してたの？」


ものすごく綺麗な笑顔を私に向けてくださる


「敦くんには聞かなかったのですか？」


職場が同じなんだから、敦くんに聞いた方が早いんじゃないのかな


そう思って質問したけど、太宰さんは予想通りという様子でスラスラと答えた


「それがねぇ、何故か教えてくれなかったのだよ」


本当何で教えてくれないのかねぇ、とまた一口コーヒーをすする


なるほど、それで私に教えてもらおうと。 でも敦くんが言わないとなると何か理由があるはず


申し訳無いけど、私も太宰さんには今のところは何も言わないことにした


「ごめんなさい、敦くんに確認してからお伝えします」

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