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「さーて、始めますか」
真っ黒な世界で、グレイはにやにやと笑みを浮かべていた。
彼の能力は、寝ている者の夢に入り込み、悪夢を見せるというもの。そして、悪夢を見せるためには──
「とりあえず手っ取り早いのは肉親だよな。……っと。ちょうど家族が出る夢を見てんじゃねぇか。ありゃあ妹か？」
そのまま、彼は黒の世界から、女がいるモノクロの世界へと踏み出す。
──が、そこにいたのは。白の制服──今、彼が身にまとっているものと同じ制服の、初老の男性。その目前には、一冊の本を抱えて、地面にへたり込み──しかし、その視線はきっ、と強く男を睨みつける少女。
その後ろを走るのは、妹ではない。おそらく、幼い頃の女だ。
その光景に、グレイは不思議と既視感を覚えた。
それを感じた瞬間、モノクロの世界に突如として色がつき始める。そして、光景もどんどんと歪み始めた。ぼんやりとしていた背景は、あの日の路地裏に。へたり込む少女は、涙目の、しかし同様に昇華隊員を睨みつける、藍色の髪の少年に。そして、逃げる女は──
金髪の、卑怯者に。
「ちがう」
言い聞かせるように、グレイは呟く。しかし、一度変容を始めた世界は止まらない。その世界は再現していく。
彼が忘れたくても忘れられない、その光景を。
「ちがうちがうちがう！ 違ぇっつってんだろ！ 消えろ、消えやがれ！ 夢なら俺の言うこと聞け、聞けよ……」
気づけばグレイは走っていた。かつての親友に背を向けて。小さな歩幅は、なかなか進まなくて。耳を塞いでも、昇華隊員の怒鳴り声と、親友の声はやけにうるさく聞こえて。
「畜生……」
彼がそう声を絞り出すと、また新たに世界に変化が生まれた。
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紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» なんですかねそれ尊すぎやしませんか？？ そしてそれを桐箪笥さんが書いてくれる、と……（控えろ） (2020年1月1日 0時) (
レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 紫清さん» なんだかその後に早朝、神社などに思った訪れて御籤を引いてみんなで甘酒でも呑むのかな…と想像してしまいました。ごめんなさい、つい…想像が止まらない… (2019年12月31日 23時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - 桐箪笥さん» グレイくんはそういう所Z要領良さそうだなと思いまして笑 私も、彼らの幸せそうな姿が書けて楽しかったです！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
紫清(プロフ) - くろせさん» ありがとうございます！ 昇華隊の野郎共はいいですよね！！（負けじと大声） (2019年12月31日 22時) (レス) id: 840643cfcd (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - グレイ…とことんやるだけやって責任放棄ですか、そうですか← 幸せそうなみんなが見れて感無量です！ (2019年12月31日 22時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
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