いや、マジで勘弁してください。【文スト】

末期になった組織とツッコミを諦めた司令官 ページ9

......昨日のヤバい展開から次の日。


私は昨日のあの書類を早めに終わらせ、自宅へ帰宅した。


今は朝の六時だ。しんどいったらありゃしない。


私の自宅はセキュリティ万全な高層マンションだ。
無論立場上、司令官という幹部の次にお偉くヤバいのでマネーの心配はナッシング。


私の部屋の十割の内六割は植物楽園だ。植物は昔から好きだったが、真逆ここまで進歩するとは思っていなかったぜ。


実は先刻、仕事用の携帯から首領の呼び出しを喰らったときは飲んでいたブラック珈琲を吹き出して、おまけにタンスの角に四回も小指をぶつけてしまった。痛かった。


エリス嬢の世話人で首領に何回か会っていたとしても、「司令官」として話したことは一度もない。


何時もは太宰幹部から伝言役として聴いたことはあるが、面と向かって話すとなると、凡ての臓器が飛び出そうになるほど緊張するのだ。うん、これマジで。


私は早めに仕事着に着替えると、部下の車で早急にポートマフィア本部まで向かった。


部下に私が急いでいる理由を話すと、部下は血反吐でも吐いた後のように顔を真っ青にさせた。


ごめんよ、そんなつもりじゃないんだ、許してくれ名も知らぬ部下よ。


＿＿＿＿＿＿


漸く首領の執務室までついた......。

ここに来るまで結構な長い道のりだった。

部下の車を降りた瞬間、頭上から今度は二、三人の部下が落ちてきたり。

また芥川さんが風呂入らないとかで妹の銀ちゃんが私に助けを求めたり。

梶井がまた変なもん開発したせいで私の部下が十人近く医務室に運ばれたり。


......うん、後で梶井は藁人形で呪うわ。


気を取り直して三回、私はフレンチ・ドアに優しくノックをした。


そして、小さく呼吸を吸い込み、胸に手当てて高鳴る心臓を押さえ込むようにトントンと自分の胸を叩いた。


『首領、夜城です。入ります』

「ねぇエリスちゃん、このドレス着てよう。一秒！一秒さっと着るだけで良いから！」


......不穏な台詞が、執務室から聞こえた。

きっと疲れすぎて変なものまで聞こえてるんだなぁ、よし、もう一度...


「ね！これだけでも良いから着てくれよお。このドレス、きっと似合う筈だから！ね！」


...幻聴だと思っていた、6.7秒前の私を返して。

...仕方ない、こうなったら実力行使だ。


『失礼します』

「いやよいや！だってこないだだって五十着も来たじゃないの！嫌よ！」

「そんなこと云わないでくれよぉ、じゃあこれは夜城君に来てもらおう！」

『おいこらロリコン』

「...あ、夜城君？居たの？」


決めた、私はもうツッコミを捨てる。

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