温厚な話と物騒な話 ページ5
ｺﾂｺﾂｺﾂ......と踵を鳴らして、灰色のコンクリートで出来た通路を歩く。
途中、部下が私の横を通りすぎるとき、全員が此方を振り返ったところは見なかったことにしよう。
うん、その方が互いに幸せなんだ。まず認めたくないし。
ポートマフィア本部は実に複雑な構造になっている。だから新人だったときは有り得んくらい道に迷ったわ。今も十分新人だけど。
通路の突き当たりを右折したときだった。ふと、背後から声を掛けられた。
「Aか？」
『え.........あ、中原さん』
くるっと振り向くと、私と同じくらいの背丈で、黒く古っぽい帽子を被った青少年が居た。
彼は中原中也。「双黒」の二人のうちの一人だ。
彼は良い表情で此方に近づいてきた。
「全く、まだ名字呼びかよ。いい加減下の名前で呼べよな」
『ですが......上司ですし...』
「ンなもん関係ねェよ。俺がそう呼べっつってンだ、まぁ無理して云わなくてもいいけど...。......出来れば下の名前で読んでほしいんだよ、手前にはな」
彼は少しだけ頬を火照らせ、後頭部を掻きむしった。
うわっ、普通にイケメン。だけど......恐れ多いわ。
だって先刻から通りすぎる女性構成員の視線が槍の様でスッゴク痛いもん。
え、何？私なんかした......？
『ど、努力します......あはは...そ、それより.........私に何か用があってでしょう？芥川さんから聞きました』
「ンあ？あぁ、そうだったな。一寸手前に頼みたいことがあってよ」
『頼み？......真逆「共同仕事」ですか？』
「共同仕事」とは、双黒の技術だけでは手に終えないような仕事を私が補う共同作業だ。
双黒は裏社会で最も恐れ多く、殆ど無敵状態だが、彼等は物凄く仲が悪い。だから途中でボロが出る。
それは時に小さかったりすると、大きかったりする。それを補うのが私、司令官の仕事だ。
まぁ、厳密に云えば双黒二人には持っていないような才能をすべて私が揃えているだけなんだよね...。
「あぁ、今回はポートマフィアの情報を横流しにしている奴が居るらしくてよ......そいつはうちらの傘下な訳なんだが、今度海上の船の上でパーティーが開かれる、まぁそのパーティーの主催者がポートマフィアの情報を横流しにされたものを持っている、まぁ要は敵組織だ。情報を横流しにしている傘下のオーナーもそこに足を運ぶ、此方の足引っ張られる前にそこで殺るって訳だ」
『つまりは、傘下の長と敵組織の長を同時に殺るって訳ですね』
私はそんな物騒な話を冷静に受け止めていた。
まぁ、大半は聞き流してたけど。
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yuhs2828(プロフ) - めちゃ好きです…！更新楽しみにしてます！ (2022年3月30日 22時) (
レス) @page18 id: 91befa6124 (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 加賀さん» すみません、間違えていました。修正しておきます。ありがとうございます！楽しみですと......！？更新、頑張ります！ (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
幻想見る主人 - 恋雪さん» ありがとうございます！面白いですって！？マジか、嬉しいです！更新頑張ります！ (2019年5月26日 0時) (レス) id: 4872ed47ec (このIDを非表示/違反報告)
加賀 - 確信犯の意味間違ってますよー、面白いです。更新楽しみにしてます (2019年5月24日 6時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
恋雪 - めっちゃ面白いです…これからも頑張ってください!! (2019年5月24日 6時) (レス) id: f47a566b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幻想見る主人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/buyda/
作成日時：2019年4月28日 17時
