写真部の女子とバレー部の男子【宮侑】

4.疑問が多いお年頃 ページ5

チャリーン………

貴方『あ、しもた』

渡り廊下の自販機の前で100円玉2枚を落っことした。

1枚はすぐ見つかったけどもう1枚がない。


雨の日も風の日もとにかくバイトに出まくって稼いだお金。

ここでこの100円玉を諦めたら負けるような気がする。



貴方『う〜〜ない〜〜〜』

ほふく前進で自販機の下まで探すが見つからない。

幸い周りには誰もいないし、スカートの中が見えても体操着の短パン履いてるから問題ない。



「もしかしてこの100円、君が落としたんか？」


前言撤回、いた。


頭上から誰かの声。

顔を上げてみると、目の前で知らない美形男子がしゃがんで私を見下ろしている。

上履きの学年カラーから、3年生だと分かる。


「今そこで拾ったんやけど、持ち主おらんから先生んとこ持ってこうかと思ったとこや。

良かったなぁ、探しもんはコレやろ？」

貴方『え、あ…そうっす』


うつ伏せで寝っ転がってる私とそんな私の前にしゃがんでいる見知らぬ美形男子。

側から見れば変な光景だと思う。


「はい、もう落とすなよ」

貴方『あ、ありがとうございます』

私が100円玉を受け取ると、先輩は寝っ転がったままの私を起き上がらせてくれた。

顔だけでなく心の中までイケメンなのか。


「君、もしかして写真部の育崎さん？」

貴方『え？あ、ハイ』

3年生の美形が私の名前知ってるとかヤバい気がする。

私の写真好きはそんなに全校に広まっていたのか。


…放課後に部室にダッシュするの少し控えようかな……



北「俺は男子バレー部主将の北。新聞部から聞いとると思うけど春高当日はよろしゅうな」

貴方『は？はあ……』

北先輩はそう言うと体育館に入っていった。



男子バレー部？新聞部？春高当日？

話がまったく分からん。


つか今日分からないこと多すぎないか？

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