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ピーっ、ピーっという機械音とともに私は眠りから覚めた。音の原因はよくドラマとかで見る機械。そこに映されていたのは無慈悲なゼロ。

死んだのか。

理解するのに時間はかからなかった。

体を起こして彼を見た。顔はいつもより白く、握った手は冷たい。雨に晒されたみたいに、冷たい。

ひどく、呆気ない死に方だ。何も言わず、私の頭を撫でて終わりか。


「坂田くん、坂田くん…。ねぇ、返事してよ」


頭に乗せられていた軽い手を握った。


「さかたく…、お願い……。なんで、なんで…っ」


わかっていたことだ。近い内に彼は死に、私の中には虚無だけが渦巻く。そんなの、余命宣告のときからわかってたことでしょ。

目頭が熱くなって、鼻がツンとした。我慢しようとしても、それはすぐに耐えきれずに流れてきた。

私は声を上げて泣いた。

もう坂田くんには届かない。泣かんとって、って慰めてもらえない。

駆けつけた家族やお医者さんを気にせず、ただただ泣き喚いた。

この世の無情さに押し潰されながら。




数日後。坂田くんのお葬式は慎ましく行われた。終わる頃には喪服に染みがたくさん出来ていた。坂田くんが見れば、ケラケラと笑うだろう。

私はその後の夕食には参加せず、一人海に来た。

悲劇のヒロインを演じる気はない。神様に踊らされるのはごめんだ。

そう思って平常心でいたつもりだった。坂田くんに余計な心配をかけさせたくなかった。

でも、やっぱり無理だった。

胸を満たしていた愛は溶けてなくなって、涙だけが溜まって、溢れてくる。

このまま遥か彼方の水平線に向かえば、坂田くんに会えるのだろうか。坂田くんのいない世界で生きるくらいなら、死んだほうがマシなんじゃないか。

そんな思いばかりが、足元をパシャパシャと濡らした。

でもやっぱり、彼を愛してしまった私にはできなくて。


『俺の分まで生きてな』

『笑顔で俺を見送ってや』

『好きなように生きて〜』

『愛してる』


彼の残した言葉が、私の意識ををこの場に引き止める。


「なんてことしてくれたの、ばか」


そんなことを呟いてその場をあとにした。

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設定タグ:歌い手 , 大型コラボ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:  
作成日時:2018年11月20日 22時

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