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*side You*
グッズを送るね!そう言った彼から大きな段ボール箱が届いたのは
あの通話から3日後だった。すぐに用意してくれた彼の優しさに
心が温かくなると同時に、申し訳なく思った。
「……ここまでしてもらったら、言えないよ……。」
彼にいくつもの嘘を重ねてしまっている。
まず1つは彼と会えないこと、そしてこの咳の正体がわからないといっていること。
その他数えてしまえばきりがないくらいの…心配をかけさせない為の嘘を。
「あと何回…彼と話せるのだろう。あと何日生きられるのだろう……」
母も同じ病で他界した。発症したと気が付いた時には、もう手の施し様がなかった。
軽いものだと思って病院に行かなかったのが仇になったのだ。
その時に医者から宣告された余命は、1年。…もうすぐ1年経つ。
唯一の救いは、呼吸困難の症状が起こっていないということくらいだろう。
「もっと……生きたかったなぁ…」
そう思って何度涙をこぼしたことか。特に彼に再会してからはずっとである。
この気持ちを彼に対して持ってしまったから、好きになってしまったから。
叶うことならこの気持ちを彼に伝えたい、だがそれは彼にとって重荷になってしまう。
それなら、最期の最期まで私は彼の友達でいたい。
「ゴホッゴホッ…ゴホッ……とりあえず…届いたよって連絡しないと…」
どうにか深呼吸して、呼吸を楽にしてから段ボール箱を開けていく。
喉によさそうな飴やマスク、携帯用の加湿器など…たくさん入っていた。
その中に他とは違う小箱とあったので手に取って包み紙を開けていく。
箱を開けるとそこにあったのは…ネックレスだ。
小さな鍵と赤い石のついたソレは彼のイメージカラーである。
「翔太は…期待させるのがうまいなぁ…」
こんなもの、もらってしまったら色々と期待してしまうじゃないか。
それならいっそ、彼を苦しませてしまうかもしれないが最期にわがままを
言っても許してくれるのではないだろうか……そう考えた私はあるものを注文し
そのまま翔太へと電話をかけた……出てくれるだろうか。
「もしもしー?」
「あ、ごめん翔太。今平気ー?」
「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」
「いや、大したことじゃないの。荷物届いたよ、いろいろありがとう!
ネックレスとかめっちゃ嬉しかった!」
「マジで!気に入ってくれてよかった!!」
こうして今日も私は元気なふりをする。
彼にばれないように、そう祈りながら……最期の時まで。
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)
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