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あれから、どれほどの時間が経っただろうか。
少なくても夕焼けだった空がすっかり暗くなるくらいには話し込んでいたみたいだ。


「コホッ…コホッ…」

「あれ、A風邪ひいた?」

「んー…風邪じゃないんだけど…ちょっと咳だけ残っててさ。」

 
そう言いながらも彼女は咳き込んでいる。いつも話を聞いてもらっている彼女に
苦しそうに咳をする彼女に何かしてあげられないか……脳内をフルに回転して考える。


「…ねぇ、Aの家ってどの辺?」

「え、いきなり…コホッ…どうしたの。」

「ん?俺歌い手してて喉とかめちゃくちゃ気を使うから、色々グッズ持ってんだよね。
 だから俺おすすめの喉ケアグッズ持ってきたいなって!」

「それは嬉しいけど…それこそそれでうつったら申し訳ないから大丈夫だよー…」

「ダーメ!それに、俺がやりたいの!それならグッズだけ送るから!」

 
その後何回か同じようなやり取りをして、最終的に彼女が折れて住所を教えてくれた。
住所を見て思ったのは、意外と彼女の家は近所だということ。
これで彼女の咳が止まったらご飯でも誘ってみよう、なんだかんだいって
連絡こそ取り合うけど、俺…天月が女の子と2人出会うのはまずいという彼女の真面目さで
あのライブ以降会えてないんだから。俺は天月である前に天宮翔太という同級生なんだから。
そう考えている間にも彼女の咳は酷くなっていったので、ちゃんと病院に行ってと
強く念を押して、その日の通話は終わった。

 
その翌日、早速彼女へのグッズを買うためによく行くお店に向かう。
お供はまふ君。今日は彼とご飯を食べに行く約束があったのだが俺がそれをすっかり忘れて
まふ君から鬼のようにラインをもらったためである。

 
「酷いよ天月君!僕との約束忘れてたでしょ!」

「ごめんごめん、すっかり忘れてた。」

「まったくさぁ…!っていうか天月君ついこの前ココでグッズ買いまくってたよね!?」

「あー、うん。今日は俺じゃなくて友達の。最近咳酷いみたいでさー…」

「そうなんだ…心配だね。」

 
そう言ってくれるまふ君はやっぱり優しいと思う。その後これは僕のおすすめ!と
色々かごに入れられたため、Aに送るグッズはかなり大量になった。
さて、どうやって送るべきか…そんなことを考えながら、今度は約束の焼肉屋に行く。
出された肉を嬉々として焼きながらもまふ君が俺を見てにやりと笑ってこう言った。



「ねぇ、天月君。その友達って……好きな人?」

*→←【天月】きっと、会いに行くから/Elice



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設定タグ:歌い手 , 大型コラボ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:  
作成日時:2018年11月20日 22時

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