【うらたぬき】先生、これは恋ですよ/優帆 ページ27
見慣れた光景にそっと目を瞑った。
私は高校3年生。そして今は卒業間近。大学入試も終わり有名な私大に合格することが出来た。嬉しかったし、努力も認められた気がした。
でも悲しい。
「おーい授業始めるぞー」
だって…もう高校で授業を受けることなんかないもの。
「おい加藤A。目を開けろ」
「へへ、ごめんなさーい。
この浦田 わたる先生。私のクラスの数学担当だ。若くてカッコよくて先生からも生徒からも大人気。
「浦田せんせーい!良ければ付き合いましょう?」
「残念ながら生徒と付き合うつもりはありません」
「釣れないなぁ」
派手めの女子がそう言ってクラスに大笑いが起きる。だけれど私は全然笑えない。むしろ悔しくて悲しくて仕方がないのだ。
私は…わたる先生が恋愛の意味で好きだ。
一目惚れってやつ?
高校1年生のとき入学式で見かけた姿に一目で恋に落ちた音がした。でも外見だけじゃなくて内面も優しいところとか時々意地悪なところとか全部全部たまらなく愛おしい。
しかしここで1つ問題があった。
わたる先生と私はただの先生と生徒の関係に過ぎないことだ。
現実はマンガみたいに上手くいかないのである。先生と生徒の禁断の関係…!?なんてリアルであったら逆に凄い。
わたる先生とは先生と生徒以上恋人未満…の関係だと自負しておこう。わたる先生とは私は結構親しいと思う。自分に謙遜したって仕方がない。
こんなに心では素直なのに現実を見てみれば不器用過ぎて笑える。
あとわたる先生を虎視眈々と狙っている人たちはそう少なくはないってこと。
皆、ふざけて告白しているようだが振られてトイレで落ち込む女子を目撃したことだってざらにある。
そんな問題があり過ぎる恋。普通だったらすぐに諦めるのが一番だろう。
はは。捻くれ女子、Aには常識なんぞ通用しません。
逆に燃える関係じゃない?
ていうかなんで自信があるかって…
「A。ぼーっとするなよ」
「すんませんー」
「卒業だからって気を抜いてちゃ大学ついてけんぞ」
「優し」
「ばーか。早くノート開け」
私にだけこんなに口が悪いしAって下の名前で呼んでくれる。これだけは私の特権って胸を張って言える。
けど私の気持ちなんか全然気づいてくれない。
「わたる先生!」
卒業最後のわがまま。
私が先生のこと、下の名前で呼ぶ意味ちゃんと気づいて。
好きって感情に気づいて。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ