【そらる】雨隠レンボ(雨垂れと回想)/琉唯 ページ21
昔の俺が嫌いな物で一番にあげる物としたら、きっと雨だ。
何故なら、雨が降れば、湿度が上がるし、雨でグラウンドが濡れて外で遊べない奴らが、愛用の図書館に集まって煩くなる。
おまけに、屋上で歌を歌う事もできない。
そして、別れを感じさせる。
俺は昔、一匹の子猫と、鳥の雛を育てた。
両方とも、きちんと世話したが、弱りきり、呆気なく他界してしまった。
凄く悲しかった。
それは雨の日だった。
雨に降られながら、俺は泣いた。
それに、これはこじつけかもしれないが、友達が転校したり、大事な人と別れる日は何故か大抵雨の日だった。
だから、俺の中で自然と雨は別れを呼ぶ物と認識された。
だが、その認識を覆す出会いをしたのも雨の日だった。
ほんの数日前の話。
じゃあ話そうか、
あの________雨の日の出会いを。
現在進行系で、俺こと一ノ瀬彼方は雨の中、登校している。
これだから梅雨は嫌いなんだ。
雨がしとしとと降り続いて、湿気ばかりを増やす。
水不足の人達には大助かりなのだから、悪い点ばかりを大声では言えないけど。
でも、晴れの空を眺めるのは大好きだ。
雨で
家から学校は結構遠いのだ。
折り畳み傘を持ってきておいて良かった。
最近は気候が不安定なので急に降り出したりする事はしばしばだ。
しかし、雨が嫌いという事もあるが、今日は特に足が進まない。
雨が降る、という事はただでさえうるさい教室が倍煩くなる。
そんなに何を騒ぎたいのか。
俺には全く理解できない。
誰が告白をした?
誰がフられた?
誰が誰を嫌ってる?
もし、自分の介入で問題が確実に解決するなら別だが、大抵そういう事には首を突っ込まない方がいい物だ。
とにかく、学校は煩わしい物の一つでしか無い。
正直逃げ出したい気分だ。
許されるならば、の話だが。
そんな事を考えると、やはり足が進まない。
サボってしまいたい。
しかし、時間ってのは非情な物で。
気づけば静かに考え事をする時間は失せ、あたりは騒がしくなり、学校へ続く坂道へと足はさしかかっていた。
クラスの男子が俺を見つけた様で、こっちにきて話しかけてくる。
「よお!一ノ瀬!知ってるか?二組の××がな、昨日の放課後、〇〇ちゃんに告白したんだとよ!くっそー!俺狙ってたのに!」
「ほぉ…」
「悔しいぜ!全く。なあ、一ノ瀬は〇〇ちゃんがOKすると思うか?」
「…………ああ…。」
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)
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