あの日の恋が嘘みたい。【歌い手】

【センラ】黄色のチューリップ/にゃーさん ページ13

「えっ…それ本当？」

「ほんとほんと！もうーショックなんだけどぉ。センラ先生、優しくて分かりやすかったのになぁ」

そう言う友達の言葉なんて耳に入ってこなかった。頭の中が真っ白になり、何も考えられない



__まさか、センラ先生が転任するなんて


昨日の新聞で発表された職員転任のニュース。その欄にセンラ先生の名前があったと言うのだ

それだけならまだしも、転任する理由が隣のクラスの桜坂先生との結婚だという
なんでも、夫婦関係の人間が同じ職場にはいれないらしく、センラ先生のほうが転任することとなったという噂





あまりの衝撃でその日の夜は眠れなかった

理由は単純、私がセンラ先生に恋をしていたから

こんなことを言ったらきっと笑われてしまうのだろうけど、私は本気で恋に落ちてしまった

センラ先生の言葉や仕草、考え方に対する尊敬の心はいつしか恋心へと変わっていた

それからは、毎日センラ先生のことを目で追ってしまったり、褒められたくてセンラ先生が担当している数学を必死に勉強したり、たまに宿題をわざと忘れて話すきっかけを作ったりしていた。
皆がやりたがらない雑用を引き受けたりもした


叶わない恋だとわかっていた。それでも、好きになってしまったんだから、しょうがないじゃないか

「イケナイ恋だったのに…馬鹿だなぁ私」
青春を叶わない恋に捧げるなんて。だいたい、冷静になればわかったはずなのに少女漫画のような展開を望んでしまった。
小さな私の努力なんかでセンラ先生の気持ちをモノにできるはずがないのに。

きっと、この転任は私への天罰なんだろう
神様はイジワルだ









それでも、叶わない恋だとしても、









「それでも、愛して、いましたっ…！！」

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