師弟関係-男主- (ページ21)

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Reunion.ⅡⅩ ページ21

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「！何で、こんな事……」

吐き捨てるかの如く、云う。

意味が判らない、と。

「…僕だって携帯電話を粗雑に何か扱いたく無かったさ。」

致し方がないのだ。こうでもしないと、割り切る事も儘ならなくなる…と判断した。

だから。…とは云え、本来であればもっと丁寧に扱うべき代物だと云う事に男は思わず顔を顰め、小さな声で囁いた。

「…作戦参謀の案は迚も善い物だけれど……矢張、止めて呉れ。…と云って措くんだったなぁ…」

だが、墓穴であった事を男が知る余地はなかった。

「…作戦…参謀……って…じゃあやっぱり貴方は____！」

『敵』と云おうと口を大きく開いたのも束の間。

再び、男によって遮られてしまう。

「如何したんだい？
____そんな驚いた様な表情をして。」

不穏な空気が辺りを漂い、凩(こがらし)が吹き、敦は身を震わし乍、金切声にも近い様な、叫びを上げた。

「先刻云った、"僕に近付こうとして入った訳じゃあ無い"…って…！あれは……」

あれは……！

敦の魂が毅く、葛藤を示す。

男は黙って敦の声に耳を傾けていた。

「嘘だったって事か！？」

……不穏とも呼称できる、禍禍しい、空気の中で。

敦は疑問と云ふ疑問を、男に伝えた。

男は何かを注視するかの様な表情を造り乍、呟いた。

「……まぁ、そう憤らないで呉れ給え、頭に響いてしまうから。…寝不足何だよ、実は。

…良いや、それは違う。

敦君が云う『河の中の出来事』は凡て真実さ。

他でも無い、そう……嘘を吐いたって仕方が無い。だろう…？」

「っ！それでも、僕は…！」

何かに堪えるかの如く、拳を握り締め、呟く敦。

「…良いよ、今は信じられなくとも。……何時か信じたいと思う日が訪れるのは間違い無いからねぇ、うん。」

そっと、冷ややかな声色ではなく、暖かみを帯びた声色で男は囁き、敦の手を握り、云った。

「……敦君の気が済む迄、僕は謝罪を行う。

それでも、それでも…若し、足りないと云うのなら何か奢る。

…そう誓うと約束をするから…さ。

……だから、その…路を教えて呉れないかい…？」

もうそこに凩はなく優しい春の風が、緩やかに浮遊していたのであった。

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