『クラピカ逆トリしてこないかなー…』『俺はイルミが良いなー』クラ「…此処は何処だ？」イル「……君達、誰？」『『えええええ！！？』』

20話　乙女チックガールで、泣き虫。 ページ20

…………
この状況を理解するのに、時間はかからなかった。


クラピカがナナを押し倒している？

クラピカはナナが好きなのかな？


………そう。

たったそれだけの事、だと思いたい。


私の思考回路は破裂寸前。


　“ 嫌 だ ”


どことなく息苦しくなる。
鼓動が速くなる。
目の前が涙で滲んでくる。


「…じ……邪魔…しちゃった、かな……？」

震える声で、うつむきながら言う。

「琥珀っ…！これは…」

「良いんだよ？否定しなくても。」

ナナが言いかけた言葉をわざと遮る。

この先の事を聞きたくないから。

「じゃあね、私部屋に戻る…」

無理矢理笑顔を作る。

嗚呼、私、きっと今ひどい顔してる。

涙と嫉妬と、訳分からない感情が私を取り巻く。


「「琥珀！」」


クラピカとナナは私の名前を呼んでいるけど、
無視して部屋を出た。


今の、こんな顔を見られたくないから。


　


「…ッ………くら、ぴ…」


声が掠れて、うまく言葉にできない。

苦しい。嫌だ。嫌だ…


その時、急にドアが開いた。

「………イルミ……？」

「………うん。」


この時の私には、もう何も分からなくて。

ぐちゃぐちゃの感情。
悲しみに埋め尽くされた思考。


私は…衝動的に、イルミに抱きついた。

「…………〜っ………」

ポロポロと涙を溢しながら。


イルミは、驚いた様子は見せなかったけど
泣きじゃくる私の背中を大きな手で撫でてくれた。


「………琥珀」

「…いる、みぃっ………うぁぁぁ……」


　


しばらく経ち、私も落ち着いた。


「…ごめんイルミ……こんな泣き虫で……」

「んー………泣き虫でも、良いんじゃないかな」

「………え？」

なんで。

「だって…泣き虫なの…迷惑かな、って…」

「…別に……」


「……………ありがとう」


今度は、心からの笑顔を見せた。

イルミの、優しい一面が見れたから。


私は、このやり取りを、二人が聞いてた事に
気付かないままで居たんだ。


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