Torenia Fournieri -2-

愛おしいのは君だから ページ10

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「……もぉやだ…」




『A…』




「限界だよ……もう疲れた…」




『…俺がいるじゃん、』




「っ、二階堂くん…」




『諦めんのはまだ早いって！…ね？』




クシャッと笑う二階堂くんの笑顔に、今までどれだけ助けられたことか･･･




.




「……信じらんない、」




最悪、会社に泊まるしかないって覚悟してたくらいなのに･･･終電前に片付くなんて。




定時の1時間前に、新人の子がとんでもないミスをしでかしちゃって、その子の教育係である私はとばっちりを食らう羽目になった。




反省してるだろうし、遅くまでいてくれたから「もう帰っていいよ」って帰してあげた私は とんだお人好しなんだろうな･･･




「ホントにありがとね。」




お礼を言うと、ふふん、ってちょっとドヤ顔してるのが すごく可愛い。




褒められて育つって聞いたことがあるけど、きっと二階堂くんはそのタイプだ。




『ねぇ、助かった？』




駅までの道は、街灯で照らされている。




この時間になると居酒屋とコンビニくらいしか開いてなくて、人通りもほとんどない。




そんな中で、不意に振り返った二階堂くんにドキッと鼓動が高鳴った。




「あ…当たり前じゃん！感謝してもしきれないんだけど……どうしたらいい？」




二階堂くんのことだからきっと、「ご飯奢って！」とか、「お弁当 俺にも作ってきてよ」とか、そうゆう感じだと思った。




それなのに･････




『…うちに泊まってってよ、』




「………え？」




そう言って、立ち止まる二階堂くん。




私も足を止めたけど、あまりに突然のことにとうしていいのか分からなくて･･･




聞かなかったことにして駅まで逃げ帰ろうか、なんて考えが頭に浮かぶ。




『ふはっ、何その顔 (笑)』




「え…っ、」




『めっちゃ間抜けな顔してたよ？……緊張してたのに一気に和んじゃったし、』




「っ、ま…間抜けって、酷くない？」




『えー…だって俺、嘘つけないし。』




きっと、二階堂くんの言う通り･･･




今、めちゃくちゃ間抜け面だと思う。




戸惑いとか緊張とか、色んな感情が脳内で処理しきれずに、表に出ちゃってるんだ。




「あの…今日はすっごく助かったの。だから、例えばご飯を奢るとか……」




『朝起きた時、隣にいてよ。』




「いや、そうゆうことじゃなくて…」




『じゃあ どうゆうこと？』




あぁもう、話が噛み合わない･･･

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