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ブランケットを畳んで元の位置へ置いて、隣に置いていたバッグを手に取る。
「……じゃあ、ね…」
『…うん、』
またね、とは言えない。
だって私達に "また" なんてないから。
その場から動かないニカを一瞥してから、背を向けて玄関へと足を進める。
・・・・・不思議な時間だった。
数時間前まで赤の他人だったのに。
女の子を連れ込もうとする邪な考えなんて、ニカにはこれっぽっちもなかった。
ただただ呑んで、喋って、笑い合って・・・
多分、居酒屋で知らないおじさんと仲良くなっちゃうタイプなんだろうな、ニカは。
きっと、そんな感覚だったんだと思う。
善意で私に親切にしてくれたのに、その優しさを勘違いしてしまってごめんなさい。
最後まで振り向くことなく、カチャリ、と閉まったドアを背に 涙がポロポロと溢れた。
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_____あの日から、3年・・・
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「渡してあった資料は読んだ?」
「あー…それがまだ、サラッとしか…」
「どうせ 帰ってすぐ寝落ちしたんでしょ?」
「……。」
「着くまでに目を通しておきなさい。」
「…はい、」
運転席にいるマネージャーが、ルームミラー越しに私をジロリと睨んだ。
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とある番組に出演したことをきっかけに、モデル業と同じくらいテレビの仕事が増えた。
街を歩いていて、変装はちゃんとしてるのに 声を掛けられることにも もう慣れつつある。
現状に満足していないと言えば嘘になるくらい、毎日が本当に充実していて、数年前の自分は 随分楽な生活をしていたんだということを思い知らされるような 忙しい日々・・・
周りからは、「なんか最近生き生きしてるよね」って言われるようになった。
自分でも、それは思う。
だけど その理由は誰にも言えない。
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メイクなどの準備を全て終えて、まだ入りの時間には早いけど、どんな感じなのか見ておきたくて、スタジオに顔を出した。
セットの向こうには、今日 共演するアイドルグループのメンバーさん達が談笑していた。
顔と名前はまだ一致していない。
・・・はずだった。
「………ニカ、」
その中に1人、見知った姿・・・
自分でもびっくりするくらいに声が震えていて、胸がぎゅうっと締め付けられるのを感じた。
なんで・・・・・なんでニカがいるの。
バラエティー番組の撮影でしょ・・・?
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nanaco(プロフ) - merさん» こんばんは (*´ω`*)♪ シーツのお話なんて誰も書かないだろうなぁと思いながら、挑戦してみました (;・∀・)笑 引き続き宜しくお願いします☆ 残り話数が少ないので、お話途中で跨がないよう頑張ります(^^; (2020年5月14日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
mer(プロフ) - こんばんは♪ シーツのお話、何だかあり得ないようであり得そうで、ドキドキしています☆楽しみにしています!! (2020年5月13日 1時) (レス) id: 6743556bd3 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - さやさん» さやさん、ありがとうございます♪ 次のお話を書きたくてスピード更新でした(^^; はい、シーツのくだりをストーリー化しちゃいました(笑) ほんの出来心、と言い訳したいところですが、Webを見た瞬間、書きたい!と思いすぐに文字にし始めました(*/ω\*) (2020年5月13日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - すんさん» すんさん、返信したつもりが出来ていなかったです、大変申し訳ございません(´;ω;) あれから動画もアップされたり、先日のリモートライブも、相変わらずお顔が宜しかった (;▽;) またWeb絡みのお話始めちゃってますが、良かったらおうち時間の暇つぶしにどうぞ(*^_^*) (2020年5月13日 1時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 完結おめでとうございます!そして新しいお話、ものすごく面白くてお腹痛いです笑 まさかシーツのくだりをお話にされるとは思ってなかったので、びっくりです。続きも楽しみにしてます( ´ ▽ ` ) (2020年5月11日 2時) (レス) id: fa3ac91521 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanacoy1139 | 作成日時:2019年12月8日 19時