Torenia Fournieri -2-

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「…そんなわけないじゃん、」




『違うの？』




「うん、全然違う。」




『…じゃあ無名のタレントとか？』




「っ、ち、違うよ！」




ていうか、無名の(・・・)って何よ･･･




図星を突かれて少し凹む。




『……。』




「……逆になんでそう思うわけ？」




『え？綺麗だからに決まってんじゃん。』




「な…っ、何言ってんの…」




『化粧の仕方とか服装も一般人っぽくないしさぁ、……あ、美容関係じゃない？！』




「え…」




『アパレルとか化粧品売り場とか！それかエステティシャン！！違う？当たってない？』




「あー……まぁ、そんな感じかな。」




『え？結局どれなの？』




「ふふ、今ニカが言った中にあるよ？」




ニカの推理は 半分以上正解だった。




この業界に入る前は、美容関係の職に就きたくて、派遣で色んなところを転々としていて･･･




社会人になってからは服装や化粧に気を抜いたことはないし、人に見られる仕事だから 肌のケアやダイエットにも十分気を付けている。




･･･モデルになってからは特に。




後悔だけはしたくないから、一通り経験してから、自分が1番やりたい場所で正社員になる。




そう決めていた。




だけど2年前のある日、仕事帰りに友達と待ち合わせしているところをスカウトされた。




アパレルの仕事をしていた時に 何度か撮影に立ち会ったことはあったし、何よりも芸能界に興味を持っていたから、名の知れた事務所であることを確認した上で 二つ返事でスカウトを受け入れた。




後悔はしてないし、今まで以上に努力しないといけない世界でストイックに生きなくちゃいけない毎日は、すごくやり甲斐があって楽しい。




まだまだ大きな仕事は貰えないけど、生計を立てられるくらいには稼いでいる。




「…ニカこそ、なんの仕事してるの？」




『……秘密、』




「は？何それ、ズルい！」




『どこが？』




「私に聞いてきたくせに。」




『だってA、誤魔化したでしょ？』




「……。」




『だから俺も言わないよ。』




「……ムカつく、」




小さく呟くと、ふふんってドヤ顔された。




『俺の仕事、知りたくないの？』




「……もういい、この話は終わり。」




どの時点で誤魔化したのか、もしかするとニカは気付いているのかもしれない。




それなら、これ以上仕事の話はしない方がいいと思い、私は黙ってグラスに口を付けた。

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