Torenia Fournieri -2-

12 ページ36

.


「…は？」




別れ話って･･･




ひょっとして、私がここのホテルに彼氏と一緒に来てると思ってるわけ？！




『事情は知らないけどさー…いくらなんでも酷くない？部屋から閉め出しちゃうとか…』




「いや、ちょ…っ、勘違いしてるって！ホントにさっき言った通りなんだけど？」




『…じゃあ誰と来たの、』




ムッと眉間に皺を寄せるニカ。




「……仕事仲間、兼 友達。」




『ふーん、男でしょ？』




「だから違うってば…っ、女の子！今隣の部屋で寝てるの！酔い潰れて！！」




･･･って、私 なんでこんな焦ってんの？




別に私が誰と来てようがニカには関係ないし、男でも女でもどっちだっていいじゃん。




勘違いされてても構わないのに･･･




『ふははっ、こんなとこにわざわざ女子2人で泊まりになんか来ないでしょ (笑)』




「…っ、」




確かに、そう思われても仕方ない。




女2人でいいホテルのお高い部屋にわざわざ泊まるなんて、普通ならおかしいもんね。




「……婚約者、」




『…へ？』




「ホントはここ、友達と婚約者の彼が泊まる予定だったの。でも 直前でドタキャンされた上に "別れよう"って言われちゃったみたいで…」




『……それ、マジ？』




「うん。」




『え…お金とかはどうしたの？』




「彼が払ってくれたって。」




『えっ、やっば！別れたのに？』




「まぁ……婚約までしてたくらいだし、さすがに悪いと思ったんじゃないの？」




『何そいつ、クズじゃん！俺がその子だったら お金で解決すんなってブチ切れるわ。』




「うん、キャンセルしようと思ったみたいだけど、彼に遠慮するのも馬鹿馬鹿しいからって……でも1人で泊まるなんて嫌だって言うから、 "私が付き合おうか？"って聞いたの。」




『……。』




「楽しく過ごせたら、嫌な思い出も少しはいいものになるかなぁって……まぁそんな単純じゃないとは分かってたんだけどね。」




結局 バーで泣きながら酔い潰れてたし、日中のテンションがやけに高かったのは、私に心配させまいと無理してたからなんだろうと思う。




『…へぇ、意外と優しいとこあるんだ。』




「意外とって何よ、意外とって！」




『だって、Aってサバサバしてるじゃん？だから意外とそうでもないんだなぁって…』




「……。」




『友達思いな子、俺はめっちゃ好き。』




「…っ、」




･･･不覚にも、ドキッとしてしまった。

13→←11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す