Torenia Fournieri -2-

もう会えないと思ってた ページ25

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都内の某有名ホテルの、エグゼクティブツインルームのドアの前で･･･




私は1人、途方に暮れていた。




何度掛けても繋がらない電話からは、機械的なアナウンスが流れてくる。




「はぁ……最悪、」




こんなことになるなら、トイレなんて部屋に着くまで我慢すればよかった！




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一緒に泊まるはずだった友人が酔い潰れて フラフラの状態だったから、そろそろ部屋に戻ろうってことになってバーを出た。




私は彼女と違ってお酒に強い方だけど、強いて言うなら後から回ってしまうタイプ。




寝る直前の記憶が曖昧になったり、朝起きた時アルコールが抜けていなかったり･･･




もう数十分もすれば日付が変わるという今、私の眠気はピークに近かった。




「ちょ、重い……って、」




私の肩にほぼほぼ全体重をかけておぼつかない足取りで歩く友人を、なんとか支えながらエレベーターに乗り込む。




こんな時、背が高いって便利よね。




モデルの仕事よりも、日常生活において高身長が役立つなんて皮肉なもんだわ･･･




ネガティブな思考を巡らせていると、急にトイレに行きたくなってきた。




部屋に戻ってから行こうかと思ったけど、私達の部屋はフロアの1番奥にある。




それなら、1階のエレベーターを降りてすぐのところに行く方が早いはずだ。




「…ねぇ、先に部屋 戻ってて？」




「んー…なんで？」




虚ろな目で私を見上げてくるから、一応意識はしっかりしているらしい。




「いいから、ね？これルームキー！落とさないように！1番奥の部屋だよ？」




「うん、わかった…」




「すぐ戻るから、寝ないでよ？」




そう、何度も念押しして･･･




羽織っていたファーコートを脱ぎ、彼女の肩にかけて、そのまま別れた。




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今思えば、完全なる自業自得。




酔ってる人に1枚しかないルームキーを託して、先に帰らせたことも･･･




トイレに行くのに邪魔だからって、冬場にもかかわらずコートを脱いだことも･･･




「…っ、寒…！」




ノースリーブのワンピースは、撮影の時に気に入って買い取ったものだ。




この仕事だからかあまり気にならないけど、一般的に見たらどうなんだろう。




ざっくり開いた胸元･･･とまではいかないけど、まぁまぁ露出度が高いと思う。




すっかり冷えてしまった腕を摩りながら、何度目か分からない溜息が漏れた。

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