Torenia Fournieri -2-

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カシャッ、とまぁまぁデカいシャッター音が洗面所に鳴り響いたその時だった。




ガチャッ




「え、何してんの…」




･････シャッター音と同時に、まさかAが乱入してくるなんて思う？




『うわっ、急に開けんなよ！』




心臓がバクバクいってる。




めっちゃ悪いことしてる気分だわ･･･




「……。」




『…なんもしてねぇから、』




･･･してたけど。




絶対に言いたくない。




「……自撮りしてたよね？」




『してない。』




食い気味に言い返す。




「嘘だ！カシャッて聞こえたもん！」




負けじとAも言い返してくる。




あー･･･やっぱ聞こえてたんだ。




『…スクショの音じゃないの？』




「……。」




『ていうか、俺が自撮りとかしないタイプだって、A知ってるじゃん。』




「それは…そうだけど……」




よし、このまま押し切ろう。




『Aも顔洗うでしょ？俺リビングで待ってるから、歯磨きも済ませたら？』




「……分かった、」




『ご飯、昨日の残りチンする？』




「…うん、ありがと。」




･･･よし。




なんとかバレずに済んだ！




朝から変な汗かいたわ。




･････って、もう朝じゃないけど。




.




それからご飯やら掃除やらを済ませて、リビングでのんびりしてたんだけど･･･




『……はぁ、』




マネージャーからの電話は、明後日に出演予定だった収録の延期の連絡だった。




リビングに戻ると、Aがいる。




心配そうに俺を見上げるAに、どうしようもない胸の内を打ち明ける。




･････平日はAがいない。




前までは1人で過ごすくらいどうってことなかったのに、考えただけで気持ちはずっしりと重くなり、沈んでいく。




いつもなら俺の方がうんと忙しくて、Aに寂しい思いをさせていた。




俺がオフの時、Aは夏でもべったりとくっついてきて、さすがにちょっと鬱陶しいと思ってしまうくらいだった。




でも、今ならよく分かる。




Aに触れていないと不安だし、くっついていないと 落ち着かないっていうか･･･




なんだろ、情緒不安定ってやつ？




テレビの内容も全っ然 頭に入ってこない。




お酒を呑む気も起きない。




そんな俺に対してAは、ギュッと抱きついてきたり、頭を撫でてきたり･･･




普段なら嫌だけど、今はそうでもない。




あー･･･なんか眠くなってきた。

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