Torenia Fournieri -2-

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Aは知らないよね。




入社した時からずっと、俺がAを一途に想い続けてきたことも･･･




二階堂くん好きだよって、同期としての意味しか含まれていないって分かってるのに 毎回馬鹿みたいにドキドキしてることも･･･




Aに彼氏が出来たらどうしよう･･･って考えただけで、夜も眠れなくなることも。




口にも態度にも出していないんだから、Aは気付くはずがなかった。




･････それなのに。




目を丸くしてるAを目にすると、ズキッと胸が痛んでしまった。




告白して振られるくらいなら、気まずくなるくらいなら、仲のいい同期でいたい･･･




このままの関係がいいんだって･････




何度も何度も、自分に言い聞かせてきた。




でももう、限界なんだ。




前に同期メンバーで呑みに行った時、そのうちの1人がAに聞いた。




"この間うちの部署に来てた取引先の人、Aに気があるっぽくなかった？"




俺はすぐにピンと来た。




周りにも何人か女子社員はいたのに、ずっとAにばかり話しかけてた奴･･･




"うーん…どうなんだろ"




"え、なにその曖昧な感じ！"




"もしかして進展あったとか？"




"実はね、あの日 仕事終わって駅まで帰ってたら たまたま会っちゃって…"




"やば！それでそれで？！"




"今度食事でも行きませんかって言われて……連絡先交換したんだよね"




Aはモテる。




普通に可愛いし、いつもニコニコしてるし、Aに惚れる気持ちはよく分かる。




だけど俺が知る限りでは、Aがそうゆう誘いに乗ったことはなかった。




だから、めちゃくちゃ焦った。




このままの関係でもいい･･･？




そんなわけない。




ホントはずっと、Aが俺のことを好きになればいいのにって思ってた。




誰かに奪られるなんて 絶対に嫌だ。




『…好きだから、』




「え？」




『Aが好きだから、このままバイバイするのが嫌だったんだけど…』




「……好き？」




真っ直ぐに見つめられて、思わず目を逸らしてしまいそうになるのをグッと堪えた。




『…うん、』




気持ちが伝わるように、見つめ返す。




「……二階堂くんが？私を？」




『……。』




･･･そうだよ。




俺が、Aを好きなの。




ギュウッと胸が締め付けられるこの感覚は、きっと愛おしいという感情なんだ。

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