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25話 ページ36

「うらぁぁっ‼」

剣は空を斬る。
はっ、と振り返ってすぐに受け身を取り、エルドの攻撃に耐えた。

「(さすが…今まで戦ってきた敵の中で1番強い。)」

エルドの武器は大きい杖だった。
杖の上のほうに大きな玉が付いていて、魔力が溢れ出ているのかわかる。

そしてその一つ一つの攻撃が重く、紗奈を苦しめた。

「(…隙が無い。
さっきの叫んでいた姿とは別人みたい…。
どれもこれも演技だったってわけか。)」


勝負はほぼ五角。
体力ばかりが削られ、お互い限界にも近づいてきていた。

すると急に何かが飛び出してきて、紗奈の手首に絡みつく。
思わず咄嗟に紗奈は自分の手を引くが、外れない。
ギザギザしていて、黒い、ロープのようなもの。

「魔力の物体ってことですか…。」
「そうよ。魔法が禁止、なんてことないわよ。」

強く引っ張られ、紗奈は足を踏ん張って抵抗した。
本当は、ちょっとピンチだ。剣でも切れない。
杖も右手の利き手を縛られた以上、腰にある杖が抜けたとして…今の体力、集中力では正確に魔力を操れない。

この間、エルドはゆっくりと私の方へ近付いてくる。

「…ふふ、勝負あり、かしら?」

そして、エルドは杖を上に上げる。
玉は光り出して、エルドは私に振り下げた。

「さぁ、終わりよ!
サナ…お前を殺して他の3人の杖も私のものだ…!」



___________________

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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2020年12月8日 21時

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