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長方形に広がる部屋に、天井は高くシャンデリアのようなものが付いていて、ステンドグラスの窓が大きく飾られていた。

(ここは…教会?)

さっきまであの狭い廊下にいたはず。
その瞬間叫び声とともに何かが入ってくる音がする。

「…っ!」

そこにいる皆が息をのんだ。
そこにいたものは…。

木や植物の蔓で形をなす化け物だったからだ。
5体ほど。

「真月!全員に加護魔法。
水穂は炎魔法で攻撃。
紫姫、動けるなら水穂のサポート。

私はしばらく動けないから…頼んだよ。」

この4人で行動するときは1番リーダーの紗奈が3人に指示を出す。

紗奈が指示を出せば、真月は杖を上に掲げ呪文を唱え始め、水穂は皆と化け物の前に立ちはだかる。
紫姫も志麻の手を解き、水穂の隣に立った。

皆の視線が水穂や紫姫、化け物に向かった瞬間…。

「んっ…⁉」

タイミングを見計らい、紗奈はセンラにキスを落とした。

自分の感情をありったけ込めた、初めての自分からのキス。
やはり慣れないが、不思議と心臓は高鳴らなかった。

顔を離すと、センラの紅く染まった顔が思ったより近くて、ここでドキンと心臓が波打つ。

やっぱり好きなんだなぁ、と改めて紗奈は自覚した。



*・゜゚・*:.。..。.: *・゜゚・* :.。. .。.:*・゜゚・*


彼女からのキスは初めてだった。

空に浮いているようにふわふわする感覚がして心地よい暖かさが身体を包んだ。

(ずっとこのままでいたい…)

だがそんな願いも叶うはずもなく、紗奈の唇が離れる。
(…可愛い。)
少し紅く染まって見えた顔の破壊力は半端なく、今まで見た彼女の表情の中で1番可愛い。

「あ…傷口、塞がってる。」

紗奈がお腹を撫でると少しくすぐったくて、センラは「くすぐったい」と紗奈を止めた。

「ありがとな。」

起き上がり、紗奈の頭を撫でると嬉しそうに紗奈ははにかむ。

「きゃぁぁっ‼」

高い悲鳴が聞こえ、すぐにその場所を見ると水穂の押さえている腕から血が出ている。

だが様子が変だ。
立ち止まっても、他の5人が近くにいるのだからあまり襲われないはずなのに、水穂は走り回っている。

その理由はすぐに分かった。

「やめてよっ…、坂田くん…!」

必死に走る水穂を追いかけているのは坂田だった。
目には光が点っていない。
うらたが追いかけ、邪魔をするがそれをものともせず、水穂だけを追いかけている。

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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2020年12月8日 21時

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