1話 ページ4
怪盗4人は、逃げる途中に分かれていたがある場所で合流する。
「…さすがに警察はここまで追ってきてはいないみたい。」
紫姫は後を少し振り返りながら言った。
「さぁ、それはどうかな？」
上から声が聞こえたかと思うと、一気に4人から囲まれる。
水穂は目の前にいる赤髪の少年をとらえてにらんで目を離さない。明らかに警戒している。
囲んでいる4人は、紗奈たちと同い年位だろうか。警察官の服を着ていてバッジの色が違う。
「へぇ、私たちが逃げているのに気づく警察官がいるなんてね…」
茶髪の少年が紗奈を見て言った。
「まぁ…。サーモグラフィーでちょっとね。」
内ポケットからメガネを取り出す。
おそらくそれがサーモグラフィーになっているのだろう。
「はぁ…警察もそろそろ私たちのために、特別警察官を使ったか…。」
もったいないと言っているかのように真月が肩をすくめる。あの普通の警察官はつけていないバッジは特別警察官の証だった。
「さぁて、おとなしく捕まってもらう…ってわけにはいかねーだろ？」
だんだん4人が近づいてくる。
紗奈は
「そうだね。怪盗がそうやすやすと、これぐらいで自首するわけないじゃない！」
屋根に飛び上がれば、紗奈の目には他の屋根飛び移っている真月、紫姫が映る。
水穂がいない…！
「あ"ぁっ！」といううめき声が聞こえて下を覗けば、赤髪に尻尾を持たれて後からお腹のあたりに手を伸ばされ、捕まっている。
「はな…せ…ぇ！」
水穂はじたばたと暴れるが、赤髪は彼女を離さない。
「獲物を逃すわけないやろ…！」
紗奈は杖を剣に変化させ、赤髪の後ろへ飛び込もうとすると、金髪が止めに入った。
金属のぶつかり合う音が響く。
急に現れた武器を見て紗奈は気づいた。
「お前ら、吸血鬼か…⁉」
「当たりやで。さすが怪盗ちゃん。」
こっちは睨んでいるのに、にこっと笑う彼は本当にうざったらしい。
人間と吸血鬼。
その間の力は歴然として吸血鬼の方が上だ。
よって紗奈に勝ち目はない。
(それなら…。
私は人間だ。
人間のやり方で勝てばいい。)
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作者名：朧月 天音 | 作成日時：2020年12月8日 21時
