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22話 ページ30

「うらたん!」

センラがうらたを見つけて叫んだ。
紗奈はまた杖を前に振りさっきのように警備員を氷の中にまだ閉じ込めてしまった。

そこにあったのは、うらたとうらたの腕に血だらけでいる真月だった。
顔色も悪く、息も荒い。

「真月っ!」
「…っ、ぁ…」

まだ意識はあるようで、紗奈が呼ぶと反応した。紗奈が近づこうと、1歩踏み出した瞬間…急にうらたは真月に噛み付いた。

「⁉ えっ…?」

紗奈は何が起こっているのかわからず、止めようとしたが、センラが肩に手を置いて止めた。

すると血が傷口に集まってくる。
服にべったりと滲んでついていた血も吸い込まれていって顔色も良くなり、呼吸も安定してきた。

うらたが顔を離すと、まるで眠っているかのように落ち着いていた。

紗奈はふと思い出した。
契約した吸血鬼は契約者の人間を操る領域で、血も操ることができる。
昔、本で読んだことがある。

「よ、かった…。」

うらたが真月の脈と息を確認した。

「ごめん、真月。俺の事庇わなかったら…良かったのに。」

その瞬間、うらたは紗奈達に気づき、顔を赤く染めた。

「あ、えと、」
「うらたん。大丈夫やで。」
「余計なお世話だ!」

うらたは真月を簡単に抱き抱える。
紗奈は翡翠の杖を取り出す。

「さぁ、ご主人様と久しぶりのご対面だね。」

杖は紗奈の手から離れ、真月にの元へと飛んで行く。
その杖が真月の手に収まると真月は意識を取り戻した。

「…あれ、私…。」

うらたが真月を下ろして立たせると真月は手に杖があるのに気づいた。

「あ、杖…!紗奈が…?ありがとう。」

にこり、と笑った瞬間、警備員が紗奈たちを囲んだ。
銃をこちらに向けられ睨んできた。

『これは…大ピンチ…?』

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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2020年12月8日 21時

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