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ページ26

紗奈は心に向かって叫ぶ。
『うるさい!
全然そんなことない。私は…。』

『じゃあ、彼は嫌い?』

紗奈は何も言えなかった。

『自分の心にも嘘をつくのね?』

何も言えなかった。
その理由は図星だったから。

『あなたは自分の心に嘘をつくようになったのは怪盗の家に拾われてから。
そうね、あなたはあの3人の中だったら1番最初にあそこに来た。
だからしっかりしなきゃいけないと思っていたんでしょ?
だからあなたは甘えなくなった。
本当は抱きしめて慰めて欲しいのに。』


『やめて…。』

『だから、敵のくせに慰めてくれるセンラが本当は好きなんじゃないの?
自分のことを愛してくれることがわかった彼が…好きなんでしょ?そしたら中身だけじゃなくて、容姿も好きになってしまった…。それは吸血鬼(センラ)に対しての恐怖も忘れる程に。』



『私…は…。』

何もかもが、図星だった。
センラが気になっていた理由も、自分の弱みも、自分の心は知っている。
紗奈は、心の声をいつも避けていた。
そして自分の声が漏れ出る。

「せんらぁ…すきだよ…。私も…すき。」
「…⁉」

さらにぎゅ、と力を入れて抱きしめた。

「どうしよ、… 1番ダメなのに…。すきになっちゃダメなのに…。センラのことっ…きらいなのに…!」

それに応えるようにセンラも抱きしめる。
気づけば紗奈も泣いていた。

「私のファーストキスは取るし、私のことを好きにさせるし、センラなんてきらい…!」

するとセンラは紗奈を自分の顔の目の前に持っていき、そして…

「セカンドキスも俺…な?」

と、さっきよりも甘い甘いキスを交わす。

「ん…!んんっ…」

とろけるようなキス。
紗奈にとってそれはとても幸せでもあり、禁断の恋の始まりのキスでもあった。

長いキスが終わり、まだ夢見心地の紗奈は小さくつぶやく。

「ねぇ、わたしいま…しあわせだよ。」
「俺もやで。紗奈」

センラは紗奈の首筋に噛みつき、血を飲む。
その味は今まで飲んだことのない程甘く、美味しかった。




___________________

吸血鬼の愛情表現……相手に唇で触れること。なので吸血行為も愛情表現の1つに入る。



皆様あけましておめでとうございます。
ものすごく甘いものを書いてしまったような…。
意味不明ですね…

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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2020年12月8日 21時

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