10話 ページ16
「久しぶり…雷光剣。」
「…⁉え?
それも魔法道具か何かなん?」
紗奈は剣を下ろす。
「まさか。
こいつは元々神武器なんだよ。
この剣の姿はもともとのこいつの姿。
人間界に落とされた時に宝石に姿を変えてそれを人間が加工した。
だから宝石に見える。
…本来の姿はこれだけど」
宝石に戻しポケットの中に入れた。
センラは納得したような…していないような曖昧な顔をしていた。
その時、紗奈は足がもつれてしまい、センラの方に倒れてしまった。
「わっ!」
センラが支えてくれたたが、まるで抱き合っている形になっている。
「色気ないなぁ〜。もうちょっと可愛く『きゃっ』とかあったやろ?」
「悪かったわね…!分かったから離して!」
センラの胸板を思いっきり押して、離れる。
「紗奈…。」
「何?」
謝罪の言葉が出てくるかと思ったら…。
「紗奈って胸意外に大きいんやな…!」
と驚いた顔で言われた。
「……へ、変態!」
体を反対にすると手をお腹に回され、後ろに引かれる。
センラの脚の間に座らされ、耳元で
「ごめんね?」
なんていわれて、ぞわぞわする。
「ひぁ…っ…!」
変な声が出た…恥ずかしい…。
息を吐く音、感触を感じ、「あ、吸われる」と思い痛みに堪える準備をする。
そして、右首筋を噛まれ、体中に痛みが駆け巡る。
ゴクン…ゴクッ…という音がして、飲まれているのが分かった。
『あれ…?今日は飲むスピードが遅い?』
これは紗奈が最近気づいたことだが、牙を突き立てる感触、飲む間隔で少しセンラの気分が、少しだが分かるようになった。
『もしかしたら…さっきからかったこと、少しは…申し訳ないって思ってるのかも…』
それでも、許させないものは許せない。
しかも、センラは紗奈の思考が読める。
吸血鬼のほうがメリットが多すぎる…、と紗奈は思った。
牙を抜き、傷口を舐めれられれば痛みが引く。
「…紗奈。」
また耳元で囁かれる。
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作者名:朧月 天音 | 作成日時:2020年12月8日 21時