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修司「悪かった。全部。」
「え?」
修司「昨日は酒も入ってたし、冷静じゃなかった。」
そう言う彼は昨日とは真逆だった。
修司「それに、Aと別れた事も後悔してる。遊びだったなんて嘘だよ。今更信じれないと思うけど。」
19になってすぐ、修司に振られてもう1年も経つ。
この1年私は随分クズだった。
誰も愛せなかった。
だから遊びまくった。
そんなのを続けるうちに自分が惨めに見えて、私をこんな風にしたのは修司だ、修司のせいだと思っていた。
思い込ませてただけかもしれない。
一度汚れてしまったモノはもうまっさらには戻れない。
もうとっくにシミになってしまっていた。
「今更そんな事言われても...」
修司「そうだよな」
切なく笑う彼は、1年前より少し大人になっていた。
修司「好きなの?凌さんのこと。」
「わかんない」
修司「でも辞めとけって言ったのも本心だよ。凌さんも俺たちと同じだから。」
「どういうこと?」
修司「あの人にも忘れられない人がいるから。」
私は何も知らない。
凌さんの事、知ってるフリして何も知らなかった。
凌さん、貴方にも忘れられない人がいるの?
修司「詳しい事は言えない。他人の心情勝手に語れないからさ。でも、凌さんの事が好きなら、Aが傷付くだけだよ。」
「別に、好きなんかじゃないよ」
少しだけ嘘をついた。
やっぱり私は、彼の人間性に惚れただけ。男性としてじゃない。
実質、今隣にいるのは修司。
こうも簡単に揺れるなら、私の凌さんへの気持ちはそれっぽっちのモノ、そう思い込ませた。
修司「もう、遅いかな?」
「え?」
修司「もう1回、チャンスが欲しい。俺と付き合わない?」
「...」
修司「今すぐじゃなくてもいいよ。」
即答は出来ない。
少しでも修司に気がある事、また同じ事の繰り返しになるんじゃないかという不信感。
「少し、考えさせて。」
修司「待ってる。」
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作者名:なちゅ | 作成日時:2020年4月9日 14時