はじまり ページ1
「もう一本！！！」
体育館に彼の声が響く。
学校の授業も終わり、今は部活の時間。バレー部に所属している彼、日向翔陽くんは私のクラスメイトであり、私の好きな人。
(今日もいつにも増して張り切ってるなぁ………。)
そう思いながら、日向くんを見つめる私。
(まぁ、でもその必死なところが好きなんだけどね〜。)
何も考えずに、日向くんを見ていると、
「おぉーーーい！！Aーー！」
と声をかけられたので、私はびっくりして、
「えっ！？あ！何ごめん！！」
なぜか謝ってしまった。
「？？A、俺に何か謝るようなことしたのか？？」
そんなことするはずがない。
日向くんに見とれてたなんて口が裂けても言えない。
「ううん、大丈夫！そんなことしてないよ！」
「それならいいんだけど…。あ！今からレシーブの練習するから見てて！」
そう日向くんに言われ、なるべく見やすい所に移動する。
すると、
「日向は頑張り屋でまっすぐな奴だからな〜。好きなのもわかる気がする。」
「ほんとそうですよね〜・・・って！？菅原さん？？！」
驚いて後ろを見ると、3年生の菅原さんが立っていた。
「あははははは！お前びっくりしすぎだべ！日向に見とれてるのはいいけど、ちゃんと仕事もしてくれよ？マネージャーさん？」
菅原さんに、ポンっと肩を叩かれる。なんでこの人は知ってるの…。
「………なんで私が日向くんのことを好きって知ってるんですか…。」
むうっ、とした顔で菅原さんを見る。
「こーら、せっかくの可愛い顔が台無しだぞーー？A、見てて分かり易いからさ！俺は日向もAのこと好きだと思うけどなーー。」
なっ……………！！
何を言言い出すこの人は！！！！
「いやいやいやいや！それはないです！ないです！私は日向くんを見守れるだけで十分です！」
首を横に振りすぎたせいで、頭がクラクラする。
「Aは日向に告白しないの？？」
菅原さんに質問され、私はしばらく考える。たしかに、想いを伝えたいと思う。でも…………。
「でも、私は日向くんを見守れるだけで、いいんです。それが私の幸せだから……。」
(そういえば、初めて会った時もバレーしてたっけ…………。)
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作者名：うさぎ。 | 作成日時：2014年7月12日 19時
