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「そうだ、私新しい水炊き鍋のレシピを開発したのだよ。
今度試食してくれないかな？
名付けて『超人スタミナ鍋』、食べると何時間走っても疲れない、夢の……」
「絶対に厭です」
安吾がきっぱりと断った。
「疲れないのなら、仕事の前には良さそうだな」
「……Aさん、それです。
貴女が突っ込まないから、太宰君が暴走するんです」
成る程。
今のポイントが安吾の云う『突っ込みどころ』と云う奴か。
ひとつ勉強になった。
「マスター、金槌はあるか？」
「ありません」
「ないのか」
「ないなら仕方ないねえ」
笑って太宰が云う。
「ああ……仕事帰りに早速頭が痛い……」
安吾がうなだれる。
仕事が大変だったのだろう。
「働きすぎだ安吾」
「働きすぎだね」
安吾は睨むような目で私と太宰を交互に見比べた後、
「そのようです」
と云った。
「どうも僕はここで無償残業をしているようだ。
今日は失礼しますよ」
「何だ、帰っちゃうの？」
太宰がつまらなそうな声をあげた。
「正直なところ」
安吾は口元だけで微笑しながら云った。
「ここに来て、あなたがた二人と酒を飲んでいると、自分が黒社会で非合法な仕事にたずさわっている事を忘れそうになるのです。
マスター、ご馳走様」
安吾はカウンターの上にある、自分の荷物を手に取って立ち上がった。
「その鞄は出張の荷物か？」
私は安吾の図囊を指差して質問した。
特に深い意味があってのことではない。
何となく、他に引き留める言葉が見つからなかっただけだ。
「そうです。
大したものは入っていませんよ。
煙草に護身用の武具、携帯雨傘」
安吾は鞄の口を大きく開いて見せた。
「あとは仕事用の写真機くらいです」
「そうだ、写真を撮ろうよ」
唐突に太宰が明るい声で云った。
「記念にさ」
「何の記念だ？」
私は訊いた。
「三人がここに集まった記念。
あるいは安吾の出張完了祝いか、不発弾処理祝い。
その他何でも」
「幹部殿の仰せのままに」
安吾は肩をすくめながら云うと、図囊から黒い写真機を取り出した。
古い型のフィルム感光型写真機だ。
使い古され、ところどころ黒い塗装が剥がれている。
「かっこよく撮ってよ」
安吾は苦笑しながら、太宰や私の姿を撮影していった。
太宰に請われ、私も撮った。
安吾と太宰がカウンターで隣り合う写真。
太宰は
「このアングルが男前に撮れる」
と云いながらスツールに脚を乗せ、ポーズを取った。
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包帯
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織田作之助
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (
レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：皇帝ペンギンM← | 作成日時：2018年9月19日 21時
