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太宰が手を差し出したので、私はそれに掴まって立ち上がった。
路地裏を見渡す。
「殺したのか?」
私は倒れる二人の刺客を見ながら云った。
「うん。
生け捕りにして情報を引き出そうとしても無駄だからね。
何しろ奥歯に仕込んだ毒薬の味が大好きでたまらない連中なんだ」
私は返事をしなかった。
腹の奥に、どしりとした重い岩のようなしこりがあった。
太宰は微笑んで云った。
「判ってるよ。
そういう意味で云ったんじゃ無いだろう?
けどねA、相手は戦闘の専門家だ。
いくら君でも、"殺さないなんて無理だよ"」
「その通りだ」
私は肯いた。
太宰はいつも正しい。
そして私はいつも間違った事ばかりしている。
「機嫌が悪いね。
……君の主義を曲げて、済まないと思ってる」
笑みを薄めながら、太宰が云った。
太宰が誰かに『済まない』と云うことはほとんどない。
そのぶん余計に太宰の台詞には真実の響きがあった。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時