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男は踏み出しながら、ナイフを握った左拳を突き出した。
まともに受ければ顔面が砕けるし、逃げたり払おうとすればナイフに肉を切り裂かれる。
私は背後の壁に体重を預けた反動で別の方向に跳ね、男と距離を取った。
そして回転しながら拳銃嚢から銃を引き抜き、引き抜いたのとほとんど同じタイミングで一発撃った。
弾丸は男の爪先のすぐ先、たった今踏み出そうとした所で着弾した。
男の動きが止まる。
私が銃を抜く動作をはじめてから実際に弾丸がめり込むまで、0.1秒もかかっていない。
男が戦闘の心得がある人物であれば、私がでたらめに撃ったのではなく、その位置を正確に狙って撃ったことが判った筈だ。
私は拳銃を構えた。
そして相手の目と目のあいだに照星をあわせた。
いつでもそこを打ち抜ける、という事を教えるために。
そのことを理解する時間はたっぷりあった筈だが、男は前に踏み出した。
ナイフが斜めに振り抜かれる。
私は後ろに跳んでナイフを避けた。
威嚇のためにさらに一発、空に向けて銃を撃った。
狭い路地に銃声が反響する。
相手はその音をそよ風程度にも感じていないらしい。
恐怖心は彼の頭の隅にある小さな箱に押し込められ、封をされていた。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時