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私は走りながら携帯電話の番号を押して、太宰を呼び出した。
「太宰か?」
『やあ珍しいねえ、Aから電話なんて。
これは事件の予感だね!
むむむ、私の天才的頭脳で内容を中ててみせようか。
ずばりAは、私に愛のメッセェジを送ろうと電話を__』
「狙撃された」
私が云うと、太宰の言葉は肺に吸い込まれるように途切れた。
「安吾の部屋だ。
今狙撃手を追っている。
古書通りの向かいにある楼閣が狙撃点だ。
あそこから逃げるとすれば、国曜寺のほうに抜けるか、埠頭への搬入口を抜けるか、御船商店街の裏手を走って逃げるしかない」
『逃げ道を塞げって事だね?』
私は一瞬迷った。
太宰に電話をかけたのは、こういう時とっさに頼れる相手が他に居なかったからだ。
だが太宰は五大幹部、首領に次ぐマフィアの統率者であり、普通なら付き人にお伺いを立てて一ヶ月ほど待たなければ会うことも許されないような人物だ。
その幹部に電話をかけて顎で使うとなれば、大統領に犬の散歩を頼むようなものだ。
「太宰。
今手元に『銀の託宣』が在る。
もし構わないなら__」
『よせったら、そんなもの無くたっていいよ。
窮地なんだろう?』
太宰は明るい声で云った。
『すぐ部下に道を封鎖させるよ。
私も向かう。
あまり深追いするなよA』
胸が高鳴ったような気がした。
その気持ちを隠すように感謝の言葉を告げて電話を切った。
あとは両脚を少しでも素早く回転させることに意識のすべてを集中させた。
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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時