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歴代最年少幹部の太宰は、組織の中でも生ける伝説だ。

太宰の目から逃れられる真実など存在しない。

それは外部の敵に対しても、内部の不祥事に対しても等しく云える事だ。


そして重要な事に、太宰が何を望み何を嫌うのか、何を擁護し何を告発するのかは、誰にも想像がつかない。

それは組織に数十年列席した古参の広津であっても同じことだった。


今、広津は太宰に"処分"されていても全くおかしくなかった。

「じゃあ本題に戻ろう。
襲撃者の映像は?」

太宰が指を鳴らしながら訊ねた。


広津が合図すると、黒服の部下のひとりが現像された監視映像を持ってきた。

合計五枚。

太宰はそれを手にとって眺めた。


その写真には、数名の男達が倉庫に侵入し、ポートマフィアが所蔵する銃火器を運び出している様子が映されていた。

すり切れた頭陀袋を被り、薄汚れた幌布を外套代わりにしている。

一見するに、裏路地にいる放浪者のような格好だ。

しかし、

「兵だね」

写真を見るなり、太宰が薄く笑った。

「それも相当訓練された」


太宰は角度を変えながら、薄闇に浮かび上がる襤褸姿の男達を何度も見た。

「ぱっと見たところは唯の放浪者だけどね。
でもこいつら、それぞれが死角を消すように、菱形の陣形で前進してる。
広津さん、この銃判る?」


太宰は襲撃者が身につけている腰の拳銃を指差した。

「古い型式ですな。
相当古い。
私より年上でしょう。
灰色の銃身と細い発射口からして、"灰色の幽霊"とも呼称された、欧州の旧式拳銃のようですが」

「私この銃、昨日見たよ」

太宰は目を細めた。

「武器庫の襲撃者は、この直前に私達を襲った事になる。
ならあれは__陽動か。
うふふ、これは面白い、予想よりずっと愉快な連中だよ、此奴等は」


太宰は写真を持ったまま、くるりと一同に背を向けて歩き始めた。


*

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ミュウ=ムー(プロフ) - 教えてくださり、ありがとうございます。 (2018年9月20日 19時) (レス) id: 1429768fb6 (このIDを非表示/違反報告)
kana(プロフ) - オリジナルフラグははずさないといけませんよ。違反行為なので (2018年9月20日 19時) (レス) id: 8d50bc542b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:皇帝ペンギンM← | 作成日時:2018年9月19日 21時

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