【文スト】太宰治の恋事情

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ポートマフィアには三つの掟がある。

首領の命令には絶対に従うこと。

組織を裏切らないこと。

受けた攻撃は必ずそれ以上にして返すこと。

この順番はそのまま、重要度の順でもある。


だからその朝、私が珈琲を淹れているところに首領から呼び出しの電話があった時、私はあやうく口に銜えていたパンを落とすところだった。


電話の向こうで顧問役が

「織田A。
首領がお呼びだ」

と感情のない声で告げた。

そのときとっさに浮かんだ単語は三つ、『用済み』と『排棄』と『人事整理』だった。

指先が冷たく痺れた。


電話を切ると、私は大急ぎでパンを口に詰め込んだ。

カナディアン・ベーコンとスクランブル・エッグをそれぞれ三つに切り分け、喉の奥にかき込んだ。

それからカップに淹れたての珈琲を注いで、角砂糖とクリームを入れた。


襟衣に袖を通しながら、珈琲を飲んだ。

火傷するほど熱くした珈琲が頭の奥を蹴飛ばしてくれたおかげで、このまま知らない土地に逃げようかという莫迦げた考えはとりあえず消えてなくなった。

髪を整え、スカァトを穿いた。

それから両肩にレザー・ハーネスを通した。

ハーネスの左右の腋の下にある拳銃囊に、使い慣れた9ミリ拳銃を差し込んだ。

そしてコートを羽織り、家を出た。


車を回して、ハイウェイをでたらめに飛ばして事務所に向かった。

道すがらの事はよく覚えていない。

三車線のハイウェイを二、三回逆走したような気がする。


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