自慢の彼女【及川徹】

19 ページ20

花巻side




最近耳にする妙な噂がある。



それは、及川に彼女がいるという噂。



先週くらいからか？風の噂で聞くようになった。
なんでも告白した子が「彼女いるからごめんね」
と振られたらしい。
ちなみに本人からは何も聞いていない。



今まで告白されても付き合わなかったやつが
今付き合う理由とはなんだろうか。



及川はモテる。それこそウザいくらいに。
こいつの本性知っているやつら、
まあ女子バレー部とかか？
そこらへんからは全っ然モテないが。



後輩や他校からは顔だけでモテている。
告白のために呼び出しだなんてこともよくある光景だ。



やっぱりあれか？寂しくなったってやつか？
それにしても大のバレー馬鹿が高校最後の大事な時期にわざわざ彼女を作るだろうか。



考えたところで結局答えは出ないのだが。




昼休憩確認してみるかなといつも集まっている屋上へと向かった。



「あれ？及川今日弁当なの？珍しい」



いつも牛乳パンだったり購買で済ませるやつが今日は弁当を持ってきているではないか。



聞くなら今がベストだと思った。



「お！噂の彼女のお手製弁当か？
………なーんて、」


「そうだよー！作ってもらった！」


「へえー…って」


「「は！？彼女！？」」



これには俺も松川もびっくりだ。
岩泉も固まりキョトンとしている。


「いつ出来たんだ？」


「んー………………中１？」


「はァ！？」
　


中学！？待て待て待て待て。



俺の知っている及川徹は彼女いないと言っていたはずだぞ。
思い返してみれば引っかかる点はいくつかあった。
告白されるくせに付き合わないし、彼女欲しくないのか聞けば、「うーん、そうだよねー」で俺の話に切り替わってた気がする！


ということは、だ。
ずっと付き合っている彼女がいるから、告白の返事もごめんなさいばかりなわけだ。
で！ずっと隠してたってことだろ？


………？それはなんでだ？
及川ならすぐ自慢してきそうなのに。



「おい、クソ川！！まさかお前……」


「言ったでしょ？動くって」


「……知らねーぞ」



なんか訳ありっぽいけど…
この感じじゃ岩泉は知ってたっぽいな。



.

20→←18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す