キラハグ ２

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「Aちゃん？！」


「あっ、芦田さんっ」






そのままの足でひろの家に向かうと
玄関前でばったり芦田さんと出くわした。

Aちゃ〜ん！！って思いっきり抱きついてきてくれて
急にいなくなってごめんなさい、とその胸の中で小さく謝った。







「戻ってきてくれたのよね？！」


「あ…、いや、そういうわけじゃないんですけど……」


「え？」


「とりあえずひろと話したくて来ただけでっ」


「そうだったの……。」







さっきまでの嬉しそうな表情から一変
わかりやすくシュンとしてしまって
なんだか申し訳なくなる。






「すいません……、ひろいますか？」


「うん、今日はヒカリちゃんの保育園申請に行くって言ってたからもう起きてると思うけど」


「え？保育園？」






どうして保育園なんだろ…？
咲彩さんがいるなら保育園なんて預けなくても
面倒は見てくれるはずなんじゃ、


「あ、先生っ」





そんな疑問を浮かべてる間に
いつの間にかガラッと玄関が開いて
そこにはヒカリを腕に収めたひろの姿があった。







「…………え？A？」


「先生！Aちゃんが来てくれたよっ！」


「なんで………、」






興奮してる芦田さんとは正反対に
明らかに困惑顔のひろ。

やっぱり迷惑だったかな……、って怯みそうになったけど
ここで逃げたらまた同じことの繰り返しだし
送り出してくれた太輔さんの気持ちも胸に
グッと唇を噛み締めた。







「急に来てごめんなさい…っ。
でもどうしてももう一度だけ話がしたくて……、
少しだけでも時間取れないかな……？」







すぐには来ないひろの返事。

ヒカリのキャッキャしてる声だけが聞こえてきて
思わず俯いてしまった。







「……分かった。
とりあえず家入って、芦田さんはごめん先に仕事始めてて」


「ええ、ゆっくりでいいからね」






頑張れ、って芦田さんにまで背中を押されて
久しぶりにひろの家へと足を踏み入れた。

何年も来てないわけでもないのに
香りとか懐かしい部屋の中に泣きそうになる。

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