キラハグ ２

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「どう？酔いは冷めた？」


「うーん、だいぶ。
ごめんなさい、お店で寝ちゃってて…」







タクシーに揺られてお家について
平常心を取り戻してきた途端に
自分の失態をひしひしと感じ始めてきた。

大事な集まりの中で
酔い潰れて寝ちゃうなんて……。

しかもいつの間にかひろは帰っちゃってたし
バイバイくらいしたかったな。







「いいよいいよ。
可愛い寝顔が見れたから」





頬に手を添えられながらそんなことを言われて
なんちゅー甘い空気。

いつまでたっても慣れないなぁ、なんて。








「先にお風呂入っちゃっていいよ」


「う、うん。じゃあお先に、」


「あ、でもちょっと待って」







添えられてた手からせっかく逃れようとしたのに
今度は顎に指を添えられて、クイッとされた。






ドキドキの状況悪化。









「え、えっ？」


「キスしてもいい？」







太輔さんの目が明らかに変わった。

元から色気を常に放出させてる人だけど
全然いつもと違う。

女をダメにするこの感じ。






「あ、き、キス………？」


「…………ダメ？」






"キス"って言葉に嫌でも視線が唇に移っちゃう。






…………プルプルじゃないっすか。


どうしよう、私リップ塗り直してないし
絶対いま太輔さんの方がプルプルしてる。









「ダメ……じゃない、ですけど………」


「いい？」


「い…………い、」






正直この唇に触れてみたいってのはあるけど
今ここでキスしてしまったら
キスだけで終わる雰囲気じゃない。

恋愛経験が少ない私でも分かる。







「目、閉じて？」








催眠術のように優しい声で言われて
ゆっくりと目を閉じた。

でも目を閉じた中で思い浮かんでしまうのは
太輔さんじゃない。





やっぱりどうしても
太輔さんじゃない…………。

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