キラハグ ２

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「ちょっとA、飲み過ぎじゃない？」


「大丈夫！
あ、もしかして予算的に迷惑？！」


「いや、そこは飲み放題だし大丈夫なんだけど」


「良かった、なら大丈夫」






周りは知らない人だらけだし
ひろとはどうしたらいいのか分からないしで
飲むこと食べることしか出来ず
気付けば結構な量を飲んでいたらしい私。

太輔さんに心配されるけど
自覚症状はそんなにないし、多分平気なんだけど。








「ごめん、ちょっとお手洗い行ってきます」








席から離れたくなかったけど尿意には勝てず
トイレから出たところで案の定、








「よっ。」








って、ひろが廊下の壁にもたれかかって私を待っていた。








「久……しぶり、」


「つか、お前飲み過ぎじゃね？」


「大丈夫！
ていうか、太輔さんと同じこと言わないでよ」


「"太輔さん"ねぇ。
いつの間にか随分親しげになったんだな」







チクチクとなぜかトゲのある言い方。

自分から太輔さんの名前を出したんだけど
話題を変えたくて、必死にお酒で鈍ってる頭を回転させた。








「あ………の、ヒカリは？」


「あぁ、咲彩に見てもらってる」


「そっか………」







そりゃそうだよね。
二人はやり直したんだもん、当たり前か。







「ヒカリ元気にしてる？
最近寒くなってきたし、風邪とかひかないといいけど。
あ、ていうか！仕事も勝手に抜けちゃってごめんなさい。
芦田さんやあだっちーにも迷惑かけちゃってるよね」








なんだかもう何を話題にしても心が抉られる気がするし
上手く笑える自信がない。

そんな感情からバーッと言いたいことだけを言って
とにかくその場しのぎをすることしか思いつかない。









「ヒカリは元気だよ。
仕事はまぁなんとか、表紙とかも今んとこ入ってないし回ってるっちゃあ回ってる。」


「そう、良かった……」









あとは何を話せばいいんだっけ。

肝心なことが話せてない気がするけど
その肝心なことを切り出す勇気がない。

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