キラハグ ２

７２ ページ23

.



「肉が柔けぇ〜！」


「ね、舌が幸せすぎる〜！」


「これ無限に食えるかもしんねぇ」


「ひろ、卵使いすぎじゃない？
お肉に対する消費量半端ないんだけど」


「そう？
だって卵もいっぱいあるって言ってたし」


「卵かけご飯みたいになっちゃってるじゃーん」








いつもと変わらない食卓。

いつもと変わらず、口いっぱい美味しそうに食べてくれるひろ。

その隣でいい子に私たちを見ながら遊んでるヒカリ。

いつもと変わらない。






………そう。

いつもと変わらないはずなのに
私だけの心が晴れなくてずっとモヤモヤしてる。









「ねぇひろ、これ食べたらちょっと話があるんだけどいい？」


「ん？うん、いいけど……なに？」


「……だからそれはあとで話す。」


「おう、分かった」








はふはふしてるひろにお水を渡して
私もまた箸を進める。

話したくないなぁ、離れたくないなぁって気持ちとは裏腹に
お肉はどんどん減っていくし、お腹もいっぱいになってくる。








.









「ごちそーさん」


「ごちそうさまでした」







満腹すぎる、ってお腹を抱えて寝転んだひろは
早速ヒカリの体に顔を埋めて楽しそうにキャッキャしてる。

それを見て頬を緩ませながら
後片付けをしようとすると、







「あ、いいよ。片付け俺するから」







って、珍しくキッチンへと立ってくれた。









「え？なに？どしたの？」


「そんな驚くことかよ」


「だってひろが片付けてくれるなんて
珍しい〜雪でも降るんじゃないかな」


「片付けねぇぞ」


「嘘です、ごめんなさい、お願いします」







分かればよろしい、ってドヤ顔されて
入れ替わるように私はヒカリのそばに座った。

ヒカリに顔を擦り寄せると
ひろの香りと混じってる安心する匂い。

ギューッと小さくて柔らかい体を抱きしめながら
危なかっしいひろが茶碗を洗う音を聞いていた。

７３→←７１ 北山side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す