キラハグ ２

７０ 北山side ページ21

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「ねぇ先生、今日Aちゃん誕生日じゃない？」


「は？！？！」









芦田さんから聞いた衝撃事実。

確かそうだった気がする〜って曖昧だから慌てて履歴書を引っ張り出すと
まじで今日が誕生日だった。









「なんで言わねんだよ……」









一言もそんなん聞いてねぇし。

なんなら呑気にすき焼きリクエストしちゃったし。


しかも今日は締切日ってこともあって
死ぬ気で必死で終わらせて、なんとか夕方頃には終わることが出来た。









「先生、本気出せば終わらせられるじゃない〜」


「うし！ケーキ買い行かなきゃだな！」


「うふふ、いつの間にか本当の新婚さんみたいになってるわね」


「え？」


「精一杯祝ってあげてね♪」









ニヤニヤしてる芦田さんとあだっちー。

そんなんじゃねぇよ、って言いながらも
適当にデスクを片付けて、二人よりも早く仕事場をあとにした。









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「ん〜……、」







駅前のオシャレなケーキ屋。

色とりどりのチカチカするくらいのケーキが並んでる棚とにらめっこ。








「すんません、このイチゴ乗ってるホールケーキください」


「かしこまりました、お誕生日ですか？」


「あー、はい」


「ロウソクの方何本おつけしますか？」


「ロウソク…………」








あれ、あいつ何歳になんだっけ。

言葉に詰まった俺に店員が首を傾げるから
慌てて適当に25本くらいで、って言っといた。





一緒に暮らして、一緒にヒカリの面倒見てんのに
あいつの年齢も誕生日も分かんねぇとか
那月のことがあって反省したにも関わらず
根本的なとこから変わってねぇな……。









若干自分で自分が嫌になりながらも
このケーキを前に嬉しそうにはしゃぐAの姿を思い浮かべると
自然と帰る足取りが早くなってく。


これから色々とひとつずつ知っていけばいい。

知っていきたい、って
きっと惹かれ始めてる証拠だ。

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