キラハグ ２

６２ 北山side ページ13

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俺は何を聞いてんのか。

無言になってしまったAを前に
しまった、って思ったものの
今更あとにも引けず。









「漫画家っていうのを抜きにしても
ひろのが好きだよ」


「えっ？！」








その"好き"って言葉に思わず前のめりになってしまった。








「だって太輔先生のことなんてほとんど知らないし。
ひろとはまた違った女慣れ感があって怖い」


「俺とは違った女慣れ感……？」









んな俺まで女に慣れてるような言い方、
って思ったけど大人しくAの次の言葉を待った。









「凄いんだよ、フェロモンで動けなくするっていうか。
ポーっとしちゃって、気付いたら頷いちゃうの」


「怖っ、魔術師じゃん」


「そうそう、ほんとそんな感じ〜」








でもそれは少なからず
Aが藤ヶ谷に惹かれてるからそうなるんだと思うんだけど。









「じゃあ結果的にどっちが好きなんだよ？」


「………だから、ひろだってば……」








改めて聞くと、顔を赤くしてそれを誤魔化すようにビールに口をつけた。


え、なんだその可愛い反応。









「ちょっと言ってみ？」


「え？なにを？」


「ひろが好き、って」


「は？！意味わかんないんだけど！///」









なんかこういうのすげぇ久しぶり。

イチャつく空気感っていうか
可愛くて虐めたくなる感じの………、









「…………あれ？」









そういや、なんだこの感情。

適当に女の子とじゃれ合う感じじゃなくて
甘い空気感が嫌じゃない、心臓がキュってなる感じ。









「ひろ？」


「え？」


「どしたの？」









急に黙った俺に不審に思ったのか
伺うように顔を覗きこまれた。









「いや…、なんでも……」









藤ヶ谷より好きか聞いてみたり
その好きって言葉を聞いて、満足したり
可愛くて虐めたくなって、またそれが可愛くて。

甘い空気に満たされるこの感覚。









「そう？もう一本飲む？」









立ち上がりビールを二本持ってきてくれるAに
それを受け取るふりをして腕を伸ばし
自分の胸の中に収めてしまった。

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