第9話 師範と継子 ページ10
*
Aさんの稽古は厳しかった。
血反吐を吐くほど辛かった。苦しかった。痛かった。
貴「筋肉の繊維、血管、自分の身体を全て認識するの」
無「……」
貴「空気をめぐらせて」
無「フウウウゥ…」
貴「もっと深く
肺を大きくして鼓動を、脈を、早く」
これを"全集中の呼吸"という。
その状態のままAさんとひたすら打ち込み稽古。
貴「遅い」
無「グッ、」
Aさん速い。すごく速い。
瞬きで目を閉じ、次に目を開けるともう視界にいない。どういうこと。探そうとするとその隙を木刀で一打ち。
貴「ほら、立って
疲れてるなら筋肉の弛緩と緊張の切り替えを滑らかにして」
無「ハァッ、ハァハァッ……はッ、い…!」
貴「息が切れてるよ
呼吸がちゃんと出来てない証拠だって言ったよね」
そしてなにより冷たい。
あんなに優しくて安心するAさんとは別人のようだ。
貴「息整ったら打ち込み台、壊れるまで打ち込み
それから素振りを呼吸交えて私が帰ってくるまで続けてて」
あと忙しい。
やはり鬼殺隊を支える柱というのは忙しいらしく、Aさんが任務している時は鍛錬を課せられ、稽古は合い間をぬってしてくれた。
貴「明け方また来るね」
息が切れて返事もできなかった。
Aさんは全然息も切れてないし、涼しい顔しているのに。……こんなんじゃ鬼を滅ぼせない。
無「(打ち込み台壊れるまで…)」
まだ、木刀を握れる。
まだ、立ち上がれる。
自分を追い込め。叩き上げろ。鍛えぬけ。
無「(僕は奴らを根絶やしにするんだ)」
*
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時