【鬼滅の刃】私の継子【時透無一郎】

閑話 蛇と恋 ページ35

*





貴「あれっ、奇遇ですねぇ」



甘「Aちゃん！無一郎くん！」



伊「……」





今日はAさんと久しぶりの食事。

外食にしようとある定食屋に行くと、恋柱の甘露寺さんと蛇柱の伊黒さんがいた。



卓上には既に空になった皿が山のように積んであった。

僕がそれを見ていると甘露寺さんがハッと気付き、照れたように笑う。





甘「ごっ、ごめんね…！

女の子なのにこんなに食べるのはしたないよね…」



無「？ 何でですか？」



甘「へ？」



貴「私はたくさん食べる蜜璃ちゃん好きだよ

ね、無一郎くん」



無「うん、すごいと思います」





僕たちがそう言えば甘露寺さんは顔を赤くしてまた照れたように笑った。今度は嬉しそうだ。

それを見ている伊黒さんも嬉しそうだった。





貴「お邪魔しちゃ悪いから他のところ行こうか」



甘「お邪魔だなんてそんなことないよ！

ね、伊黒さん！」



伊「……あぁ、そうだな」





甘露寺さん、鈍いのかな。伊黒さんの顔見てほしい。

今ここで僕たちが食事を始めてしまったら、今度会った時ネチネチネチネチ何か言われるに違いない。





無「…僕Aさんと2人で食べたい」



貴「そうだね

久し振りに親子水入らず、ね？」



甘「そっかぁ、残念…」



貴「じゃあ今度うちでお茶しよ？

美味しいお茶と桜餅用意しておくね」



甘「！！ えぇ！楽しみだわ！」





さっきまでシュンと丼物も箸も卓上に置いていたのに、Aさんの言葉でまた元気に丼物を食べ始めた。

甘露寺さんは表情がころころ変わる人だ。





貴「それではまた」



無「……」





少しお辞儀をしてAさんの後を追った。

するとAさんは定食屋の扉に手をかけると立ち止まり、振り返ってこう言った。





貴「伊黒さん、これ貸しですからね」



伊「あぁ、今度美味い茶でも持って行く」



貴「ふふ、楽しみにしてます」



甘「？？？」



無「……」





結局その日の食事は近くにあったうどん屋さんになった。

やっぱり僕は外食よりAさんのご飯が1番好きだなぁと切に思った。うどんは普通に美味しかったけど。





そして後日、伊黒さんがうちに来て高級玉露を置いていった。

そしてまた後日、甘露寺さんがうちに来て伊黒さんが置いていった高級玉露と、桜餅を食べて帰った。Aさんが用意した桜餅全部食べてた。凄い。





*

第31話 最後の反発→←第30話 一通の手紙

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す