第30話 一通の手紙 ページ34
*
産「では手紙を」
「はい」
お館様はこの状況を想定済みだったようだ。
目が見えないお館様はご息女に手紙を読むように指示をすると、ご息女は長い文を取り出した。
「こちらの手紙は元柱である鱗滝左近次様から頂いたものです
一部抜粋して読み上げます」
"───炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許しください
禰豆子は強靱な精神力で人としての理性を保っています
飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました
俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です
もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び───…"
「鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します」
貴「!!」
私はその1文が読み上げられた直後、端にいる冨岡さんの顔を見た。いつもと変わらない、何を考えているのか分からない表情をしていた。
あなたはこの2人に命を懸けるまで何かを感じたのでしょう。
それと同時に責任を負っているのでしょう?
貴「(自分の下した判断は正しかったのかと)」
あの時嫌がっていたとしても強引にでも話を進めれば良かった、なんて。少しの迷いが後悔を生んで、責任が自身に覆い被さる。
───…わかりますよ、その気持ち。
不「……切腹するから何だと言うのか
死にたいなら勝手に死に腐れよ
何の保証にもなりはしません」
煉「不死川の言う通りです!
人を喰い殺せば取り返しがつかない!!
殺された人は戻らない!」
産「確かにそうだね
人を襲わないという保証ができない、証明ができない
ただ、人を襲うということも証明できない」
不「!!」
さすがお館様だ。
完全な論破。皆きっと反論できないだろう。
産「禰豆子が二年以上もの間人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子のために三人の者の命が懸けられている
これを否定するためには否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない」
不「……っ!」
煉「……むぅ!」
お館様の言葉に、反論していた2人がついに口を閉ざした。
この話はもう終わりだろう。
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鬼滅大好きもち - 中学一年の私自身むいくんが最推しなのでこの小説を読んでると心がホワホワします。むいくんと恋仲が私的に思ってないので師範面から過ごす話の小説を探していてやっとお気に入りの小説に出会うことができました!とてもいい作品を作っていただきありがとうございます! (2019年12月27日 10時) (レス) id: 08fa144c19 (このIDを非表示/違反報告)
カオリ(プロフ) - 鬼滅隊じゃなくて鬼殺隊ではないでしょうか?間違いだったらごめんなさい。 (2019年11月17日 18時) (レス) id: f2976f8dda (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 岬さん» ひぇ…恐縮です……私も岬さんから温かいコメントをいただけてキュンキュンが止まりません…ありがとうございます…… (2019年9月2日 15時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
岬 - わぁ……閑話めっちゃ……もう……囁かに甘くてキュンとしてしまいます……むいくんが柱になってからは、夢主さんに甘える機会が少なくなったように見えますし、こんなふうに甘えてるのを見るとキュンキュンが止まりません……ほんとに時紀さんの小説で、生きてます…… (2019年9月1日 21時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
時紀(プロフ) - 李詩さん» 無一郎くん喋りましたねぇ、動きましたねぇ、かぁいかったですねぇ。作者もとっても幸せです。一緒にキュンキュンしましょう……! (2019年9月1日 0時) (レス) id: efc0380dc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あたた | 作成日時:2019年7月23日 23時