79,別れた理由 ページ29
朝食を並べ終えると
彼女は書斎机の方から
椅子を持ってきて座った。
A「いただきます」
碧井「いただきます」
彼女の作るごはんは相変わらず美味しい。
本人は“簡単なもの”と言うが
俺はその素朴さが良いのだと思う。
なんていうか…安心する味だ。
A「あのさ…昨日の事なんだけど」
碧井「うん」
彼女から昨日の件について話し始めた。
A「私…だいぶヤバい爆弾発言放った気がするの」
碧井「…そうだね」
水無瀬さんに言った“気持ち悪い”の事だろう。
…本当に爆弾だった。
A「だから水無瀬さんの前では
酔わないようにしてたのに…」
碧井「そうなの?」
A「うん…。酔ったら
オブラートに包むとか忘れちゃいそうで」
碧井「あー…ハッキリと突き落としてたもんね」
先週の高級レストランデートにて、酔えなかった理由は
店の雰囲気の他にそれもあったのかな。
A「碧井くんは…気にしてる…?」
碧井「え…?」
A「あのね、水無瀬さんと付き合ってから、色々と
気持ち悪く感じちゃう事が増えて…だから別れたんだけど
それ言うと碧井くんが気にしちゃうかなって思ってて…」
碧井「ああ…うん。“好き”って言われると気持ち悪いって
Aちゃん言ってたから……俺やばいかもって思った…」
A「碧井くんは大丈夫なの!」
碧井「!」
彼女曰く、
水無瀬さんに告白された当時は
優しいお兄さん的存在の水無瀬さんが相手なので
快くOKし、付き合う事にしたものの
そういう雰囲気になった時に気持ち悪く感じてしまい
“きっと初めてだから”とキスすらも断ったらしい。
そしてそれ以降、だんだんと触られる事に抵抗を覚え始め
手を繋ぐのも、“好き”や“可愛い”と言われるのも、
…最終的には、見られる事ですら気持ち悪くなってしまった。
友達同士での触れ合い等は全く問題なく平気なままなのに
水無瀬さんの好意を持った目は耐えられない程になっていて
その結果、
気持ち悪さに耐えるのも、避ける為の言い訳をするのも
疲れてしまった彼女は水無瀬さんに別れを告げた。
水無瀬さんには
傷付けない様にと言葉を選んだらしい。
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作者名:麦兎 | 作成日時:2021年10月21日 0時