48.〈反撃へ〉 ページ50
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あの闇の中での出来事を思い出して、手元へ視線を落とす。
…あの時現れたのは、光の中に居たのは、間違いなく…
右手の薬指に嵌められた指輪をそっとなぞる。
───共喰い前夜、突然贈られたこの指輪。
所謂ペアリングというやつで、彼の人も同じデザインの物を持っている。
でも…もう捨てちゃったかな。
もう赤の他人に戻ったのだから。
潤みそうになった目をぎゅっと瞑り、力強く拳を握り締める。
…しっかりしろA。
今の使命を思い出せ。
『おじさん、共喰いの今の状況は?』
「……善いとは云えんな」
そう目を伏せる夏目のおじさん。
矢張り、共喰いに二人同時に助かる道は無いのだろうか。
私があの時気を失っていなければ、魔人を捕まえられていたら。
悔しくて胸が苦しくなる。
しかし、おじさんは「だが、」と続けた。
「今からひっくり返しに行くぞ」
『え?』
「全く、隠居爺を働かせおって…ほれ、直ぐに出発じゃ」
『え?え?』
椅子から立ち上がり扉へ向かうおじさん。
私は慌てて寝かされていたソファから立ち上がり、その後を追う。
『ちょ、待って待って!何処に行くの?』
傍にあったブレザーの上着を拾って駆け寄る私を振り返り、おじさんは「決まっているだろう」と息を吐いた。
「────御前達の長の元だ」
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奏翔 - とても面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2023年3月21日 20時) (レス) @page50 id: 49dd49021f (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - とても面白かったです!更新楽しみにしてます! (2023年3月17日 10時) (レス) id: e237c48342 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます!( ;ᵕ; ) これからもお付き合い頂けると嬉しいです! (2023年2月3日 7時) (レス) id: 064241d233 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - ゚+。:.゚おぉ(*゚O゚ *)ぉぉ゚.:。+゚めっちゃ楽しみに待っていました٩(๑>∀<๑)۶更新ありがとうございます<(_ _*)>麦子さんの小説は大好きです。頑張ってください。これからも応援してます。 (2023年1月19日 0時) (レス) @page48 id: 6b9c5dcab8 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - Senaさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです…😭更新頑張ります! (2022年5月2日 1時) (レス) id: 064241d233 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦子 | 作成日時:2018年4月28日 20時