44.〈闇の中〉 ページ46
・
「さあ、僕と一緒に異能の無い世界を創りましょう？」
『っ、わたし、は………』
暗闇の中で、そう差し伸べられた手。
何故だか判らないけれど、その時私は「この手を取れば救われる」と思った。
この手を取って、異能の無い世界を創れたら。
密かに夢見ていた��普通の女の子��になれるんじゃないか。
異能を制御する為に苦労しなくて済むし、この力の所為で変な事に巻き込まれる事も無くなる。
…そうだ。
こんな力さえ無ければ。
いつも私を苦しめていた、こんな力さえ……
『……異能力なんて、無くなれば良い』
気付けばそう呟いていた。
段々と頭がぼんやりとしてきて、思考が上手くできない。
考えるよりも先に勝手に腕が動いて、目の前の青白い手へ自分の手を伸ばす。
もう全部嫌なんだ。
もう、楽になりたい。
��──────A��
伸ばした手がもう少しで触れる、という所まできた時。
突然何処かから名前を呼ばれてびくりと動きを止めた。
先程手を差し伸べて来た人物とは違う声だ。
声の主を探して辺りを見回していると、突然背後から強い光が差した。
太陽みたいに明るくて、とても温かい光。
振り返ると、そこには光を背にして立つ人影が。
眩い光の影になっていてその顔は見えない。
『…誰……？』
人影が纏っている外套が風も無いのにふわふわと揺れている。
すると、その人物がすっと此方へ手を差し出してきた。
私はそれに導かれる様に立ち上がって、その手へ自分の手を伸ばす。
…何故だろう。
顔は見えないのに、私はこの人の事を知っている気がする。
強くて、優しくて、温かくて、ぶっきらぼうで、口は悪いけど、愛に溢れてる………
『…私の、大好きなひと』
その瞬間、パリン！と硝子が割れる様な音が響き渡った。
周りの暗闇にどんどんヒビが入っていく。
そして同時に、頭の中に濃く色付いた映像が流れ込んで来た。
��──Aさん！��
��Aさん凄いです！��
��探偵さん、ありがとうございました��
��お姉ちゃんありがとう！��
��貴女に助けられたわ��
��助けてくれてありがとう��
��君は命の恩人だよ��
『─────っ、これ、は…』
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1069人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏翔 - とても面白いです！更新待ってます！頑張ってください！ (2023年3月21日 20時) (
レス) @page50 id: 49dd49021f (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - とても面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2023年3月17日 10時) (レス) id: e237c48342 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - 瑠李さん» ありがとうございます！( ；ᵕ； ) これからもお付き合い頂けると嬉しいです！ (2023年2月3日 7時) (レス) id: 064241d233 (このIDを非表示/違反報告)
瑠李(プロフ) - ﾟ+｡:.ﾟおぉ(*ﾟOﾟ *)ぉぉﾟ.:｡+ﾟめっちゃ楽しみに待っていました٩(๑>∀<๑)۶更新ありがとうございます<(_ _*)>麦子さんの小説は大好きです。頑張ってください。これからも応援してます。 (2023年1月19日 0時) (レス) @page48 id: 6b9c5dcab8 (このIDを非表示/違反報告)
麦子(プロフ) - Senaさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです…😭更新頑張ります！ (2022年5月2日 1時) (レス) id: 064241d233 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：麦子
| 作成日時：2018年4月28日 20時
