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30 記憶とはふいに蘇るもの ページ31

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「あんな真っ赤なもん食えるなんて未だに信じられやせんよ…って、話聞いてんのかあんた」





私が急に大人しくなった事を、話を聞かずぼさっとしているとでも思ったのだろう。

沖田君が不満げにこちらを見た。





『聞いてますって。
…沖田君にこんな弟の顔があったなんて知らなかったからさ、ちょっと意外』





「……それ馬鹿にしてやす?」





『え、いや、そんな、滅相もございません!!』





「冗談でさぁ」





そう言って、悪戯っぽく笑う。


その顔がふと、兄貴と重なって。


それに感化されたように、まだ幼かった頃の記憶が連鎖するように、次々と蘇った。





『……私の兄貴は酸っぱい物大好きでさぁ、味噌汁にも漬物にもいっつもレモンかけてて。
とにかく酸味依存症みたいな?』





たった今溢れ出した記憶達を、己の言葉に綴って、確かめるようになぞっていく。





『酷い時は一日でレモン七つとか食べてたからね、しかも丸齧りで。
今思えば、一体何処の森で育ったんだか。
…でも、ちゃんと芯の通った奴だったよ』





そう、彼奴は本当に芯の通った性格だった。


普段は周りに憎まれ口ばかり叩いて、でもいざ誰かが危険な目にあったら、真っ先に助けに行く。


……そんな天邪鬼なところは、何処か旦那に似ているような気がしなくもない。





「そ……興味ねーや」





『だよね……って、失礼極まりねーなオイ!!!』





「俺ぁ人といるときは話聞いてもらう方なんで。
姉貴は一生聞き手側でいてくだせぇ」





『鬼かよ、一生お前の話なんて聞きたくないってか』





恐らく悪意は無いのだろうが、さりげなく毒を吐かれた気がして若干ショッキングな気持ちになる。

二十歳にもなって歳下にこうも言われると、なんとなくブルーな感情に見舞われてしまうのは条件反射なのか。





「でもまぁ、あんたが兄貴思いなのはよく分かりやしたよ。
……ついでに今寂しそうな顔してんのも」





寂しい、なんてほとんど無意識の感情、まさかそれを顔から読み取られるとは。

沖田君の鋭い指摘に、思わず感心してしまった。

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スージー・ズー - すみません!間違えました!銀ちゃんサイコー!って書こうとしたんですけど…笑 (2017年8月10日 21時) (レス) id: 277f6daa72 (このIDを非表示/違反報告)
スージー・ズー - んサイコー! (2017年8月10日 21時) (レス) id: 277f6daa72 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - めっちゃ面白いです!!!銀ちゃんかわいい(((o(*゚▽゚*)o))) (2017年5月18日 21時) (レス) id: 667d20a7e0 (このIDを非表示/違反報告)
気空(プロフ) - 漆黒のラーメンさん» ありがとうございます!! 頑張りますね( ´-` )*゚ (2017年4月1日 12時) (レス) id: f4d2ff8c45 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒のラーメン - クッソおもしろいです!!!!! 頑張ってください!(*´∀`) (2017年3月31日 19時) (レス) id: dd18b39158 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:気空 | 作成日時:2017年3月20日 18時

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